″文化の裏に宗教あり″ 「世界5大宗教入門」感想

書籍

あらゆる文化への理解を深める1冊の話。

世界5大宗教入門

世界94カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門 [ 山中 俊之 ]

日本は、学校で「道徳」の授業を教える珍しい国。
 
では、海外ではなぜ教えないかというと
ずばり「宗教」があるから
 
 
ということは、
軽々しく無宗教だと答えることは、
善悪の区別もできない非常識な人です。と
言っているように取られても仕方がない。
 
せめて、自国の宗教について
どんなものか語れるようにしておきましょうよ。
って本です。
 
 
なんやかんや日本でも、
神社で初もうで。
葬式にはお坊さんを呼び、
先祖代々のお墓に入る―。

ライフイベントには必ず、
宗教の影がある!
 
 
そんな宗教の中でも次の5つが
特に認知されているのではないでしょうか。
 
ユダヤ教
キリスト教
イスラム教
ヒンドゥー教
仏教

 
 
ちょろちょろ、
本を読んでて気になったところを
かいつまんでいこう。

ユダヤ教

1週間を作った宗教。
そもそも、なんで7日間で一区切りなんだ?
ってのは、実はユダヤ教からきている。
 
「神は6日間かけて天地を創り
一日を安息日とした。」
だそうだ。
 
そう考えると、文化と宗教は
きってもきりはなせない関係なのかも。
 
そして、ユダヤ教で有名なのは
モーセの十戒という、戒律。

「他の神を信じてはいけない」
「神の名前を唱えない」「人を殺してはいけない」
「盗みはだめ」「休息日には休め」などなど。
 
「律法を守って暮らせば、ユダヤの民は繫栄する」
これは神とユダヤの民の契約だそうだ。
 
 
ちなみにユダヤ人というのは、
ユダヤ教信者、または父母が信者のこと。

だから、国や言語で違っても
ユダヤ人はユダヤ人ということ。
 
 
ユダヤ教が大事にしている
聖典「タルムード」
その中の教えにこんなものがある。
 
・常に新しいことを学べ
・時間あたりの成果を意識せよ
・休みは本質的なことを深く考える日
 
すごく、現代のビジネスシーンで
よく聞く言葉というか、教えじゃなかろうか。
 

キリスト教

キリスト教は愛の宗教である。
有名なのがこちらの一節。
 
“だれかが右の頬を打つなら
左の頬も向けなさい。”

“敵を愛し、自分を迫害する者のために
祈りなさい。”

 
もともと、ユダヤ教から分かれた宗教で、
ユダヤの厳しい戒律を守っても、
生活が全く豊かにならないことに反発して
生まれた。
 
とにかく愛を説いている。
 
啓蒙にも積極的で、
歴史でおなじみザビエルをはじめとした
宣教師の文化も印象的。
 
 
なんとなく、アメリカ人が
ディベートに強いイメージあるのは、
昔から宣教師としてプレゼンの文化に
慣れていた可能性も。。。
 
 
愛について真摯ないっぽう、
世界5大宗教のうち宗教戦争が多かったのは
キリスト教だとも言われている。
・・・なんか極端。
 
とはいえ、
カルチャーのモチーフに
数多く採用されていたり。
 
 
聖書にインスピレーションを受けた、
クラシック音楽。
「罪と罰」をはじめとした文学。
なんなら「スパイダーマン」だって
キリスト教的だと思う。
「汝の隣人を愛せよ」という教えだ。
 
 
ちょっと、面白いのは
日本でもなじみのイベント、
クリスマスをアメリカでは、
「ハッピーホリデー」という言い方を
するらしい。
 
「メリークリスマス」はキリストの行事。
押しつけがましくならないよう。
との配慮だそうだ。
 
こういうのを気にするのは
多神教の国だと思ったが、
1神教のほうが気にするんだね。
 
 

イスラム教

一神教ではめずらしく、
他の宗教にも寛大。

 
キリスト教やユダヤ教は、
かつて異教徒は追放だったが。
税金を払えばキリスト教も
ユダヤ教も信仰できるように
してくれたそうだ。
 
 
イスラム共同体という考えを持っていて、
宗教行為のみでなく、
社会のルールすべてを
イスラム教でやっていきましょう。
そんな宗教でもある。
 
そんなイスラム教の教えは、
孤児を大切に。
戦争未亡人を助けよ。

そして金持ちから徴収した税、
または自ら寄付した財産を
困った人のために使う。
 
弱い人に寄り添った宗教だともいえる。
後継者も血統ではなく、話し合いで選ぶし、
わりと現代的な考えな気がする。
 
 
だけど、やっぱりイスラムが
物騒だと思うのは
テロリストが唱える「ジハード」

しかし、実は、ジハードとは
イスラム教を守るために努力すること。

そもそも考えが違う。

そんな言葉を、なぜ好んで使うのか。
非イスラム教は地獄しかいけなくて、
イスラム教徒はジハードによって
命を落とした場合は、天国に行けるとされている。

都合の良い解釈で使われ始めた結果、
物騒なイメージが定着することに。。。
なんか考えさせられますね。
 
 
ちょっと面白いのは、
偶像崇拝禁止のため、
漢字圏と同じく、
書道が芸術の域にまで発展した点。
 
そして、思ってるより
10倍厳しいブタNG。
これは、ブタを入れたことがある冷蔵庫NG
ブタ由来の調味料やコラーゲン化粧品もNG
という、かなり厳格なもの。
 
 
お見合いも日本の文化と全く違う。
 
母親か、お姉さんが見合い相手を見つけ。
その相手の家で合うのは当人ではなく、
お父さんとお兄さんといった男性。
そこでお茶を飲んでいると花嫁候補がちらりと一瞥。
 
これがお見合い。
 
映画「裸足の季節」にも、
見合い描写が見られるので、
この映画を見ると想像しやすいと思います。

ヒンドゥー教

上記3つとは違い多神教であり、
輪廻転生を繰り返し、宇宙と一体化を目指す。
という考えが特徴的。
 
・・・宇宙と一体化って、
もう想像つかない。
 
抽象的な概念を論理的に解析したり、
心理をどこまでも探求する思考を持つ、
かなり哲学的な側面のある宗教。
 
 
もうひとつの特徴はカースト制度。
生まれながらに身分が決まっている。という考え。
法律的には身分制度はないらしいけれど、
どこか潜在意識的に、まだ残っているそうだ。
 
 
規律の多い、他宗教に比べ、
めちゃくちゃルールは少なめ!
だけれど、
ひとつ!
かなり厳しいのが「牛」に関すること。
 
牛は神聖なもので、
誤って牛を殺した人が
処刑されてしまうほど。
 
他の宗教でも食べないものがあるけれど、
それは「神によって禁止されているから」で、
うっかり食べてしまっても、
その後の善行で挽回できるチャンスはある。
 
しかし、ヒンドゥー教にとって
牛は聖なるもの、そのものなので、
深刻さが段違いというわけだ。
 

仏教

ヒンドゥーから分かれて生まれたのが仏教。
 
そのため、ヒンドゥー教徒は仏教も
ヒンドゥーの一部と思っているとか。
 
 
目指すところは涅槃。
ヒンドゥーの宇宙よりも
「なんだそりゃ」って感じですが、
涅槃とは悟りの境地で、
あらゆるしがらみから解放された
安らぎの境地
でもある。と。
 
 
もう、ほんとに哲学的。
例えば、「一切皆苦」という教え。
世の中のものはすべて苦しい
という意味。
 
そして「空(くう)」という考え。
自分というのは
確かに存在しているが、
なぜ存在しているのかを証明するのは難しい。
っていうことなんだけど。
これなんか、もろ哲学。
 
要は全てを支える絶対的事実は存在しない。
ってことなんだけどさ、
宗教ってより学問だよね。
 
  
全てにおいて絶対はなく、
変わりゆくもので、
関係性のバランスの中で存在する幻。
だから執着してはいけないよ。
 
そんな教えを説くのが仏教。

宗教と日本

日本の宗教観のひとつは神道。
 
どんなものにも神が宿ると考え、
神社にある石や木も、
信仰の対象になったりします。
 
そして、 
学問、安産、それぞれに神様がいるという考えは
なかなか独特のもの。
 
 
いっぽうで、
「神頼み」という
わりと他力本願な考えも持っている。
 
江戸時代に庶民に定着した仏教は、
悟りを開くより、ご利益を優先する。
というもので、
自分の頭で考えることをしなくなった。
 
 
宗教って比べてみると、
やっぱり学問に近くて。
 
科学が発展する以前は、
自分とは何か?
生と死とは?
災害はなぜ起こるのか?
 
これらの悩みに答えを導けるのは宗教だった。
 
江戸時代以降、
人間とは?死とは何か?といった思考を
あまりしなくなったことが
日本人の宗教に苦手意識を持つ現在に
つながっているのではないかと。
 
そもそも、多神教としてるわりに、
学校で宗教を教えないしね。

おわりに

この本を読んで思ったのは、
宗教って地域制があること。
 
キリスト教一つとっても、
・東方正教会
・カトリック 
・プロテスタント

その中から、ロシア式やギリシャ式、
中東式など、さらに細分化していく。
 
それ以外の宗教も同じく、
各国でローカルルールが存在する。
 
こう見ると
「文化」と強く結びついているもの
なんだなぁと感じてしまうのでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました