″明日のために立ち上がる″ ウィンター・オン・ファイヤー 感想

「明日、おびえないために、
今日立ち上がるの。」

という映画の話。

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い

データ

公開:NETFLIXにて配信(2015年製作)
製作国:イギリス、ウクライナ、アメリカ

 
2013年に起きたウクライナの学生デモが
過激なマイダン革命へと変わり、
政権を打倒すまでの
93日間を描いたドキュメンタリー。
 
 
マイダン革命とは何かを
簡単に言うと・・・。

2013年、
ウクライナ大統領・ヤヌコーヴィチ氏が、
EUとの連合協定をけり、
ロシアと協定を結んだことで、
市民からの反発を受けたことに発端。
 
市民がロシアとの協定を嫌がったのは、
ロシアの傀儡国家になることを恐れたため。
 
抗議活動は平和なデモに過ぎなかったが、
ウクライナ警察組織「ベルクト」が
武力で押さえつけようとしたことにより、
運動が過激化。
 
100名を超す死者を出したが、
2014年2月23日に
ヤヌコーヴィチがロシアに亡命したことで
幕を閉じた。
 
 
 
映画の特徴的なところは、
大部分の映像は
この革命に参加した市民たちが撮影したもの。
 
そのため、
革命の凄惨さがありありと伝わってくる。
 
映し出されるのは、
遺体や、血まみれの人。
銃で狙撃される瞬間などだ。
 
この手の映像が苦手な人は注意。
 
 
映画を見てれば分かりますが、
ヤヌコーヴィチ氏が、
ベルクトを鎮圧に動員したあたりから。
痛々しい映像がガツンと増えます。
 
市民vs.ベルクト。
 
武器を持たない市民にたいして、
ベルクトは鉄の警棒でしつように殴り。
・・・本当に不必要に痛めつけます。
 
ライフルで狙撃することも。
それだけにとどまらず、
救護施設の襲撃も。
 
 
およそ、虐殺といってもいいような
凄惨な光景が繰り広げられます。
 
 
しかし、それでも。
いや、そのたびにデモに参加する市民の数が
増えていく。
おのおの、ヘルメットや盾で守りをかためて。
 
参加したメンバーは、学生から
元・軍関係者から、あらゆる宗教の司祭まで
さまざま。
 
 
そんなデモをなんとかしようと
おかしな法律まで、生まれます。
 
例えば、
「集会でのヘルメット着用を禁じる。」
 
違反者は逮捕される、明らかにデモへ向けた政策。
身を守らせなくしたわけです。
 
市民はどう対抗したのか?
それは、なんと「ナベ」を頭からかぶったのです。
まあ、これならヘルメットじゃないしね。
 
 
 
どうして、こんなにも自由にこだわるのか?

その一端がわかるのが、
「赤い闇」という映画に描かれています。
 
第一次世界大戦後、
ソ連のスターリンが自国を養うために行ったこと。
それは、ウクライナからの食料搾取。
 
食べるものを失ったウクライナ民は
餓死を余儀なくされ。。。
 
 
つまり、マイダン革命に参加した人々は
ロシアに加わることでの良い未来を想像できなかった。
というのもあるんじゃないかと。
 
 
 
「ウィンター・オン・ファイヤー」を見ると、
現在のロシア・ウクライナの戦争で、
なぜ、彼らは戦えるのか。戦うのかの理解が
深まると思います。
 
こんなに、決死の思いで獲得した「自由」を
手放すわけにはいきませんよね
。それは。
 
 
 
ただ、映画の中で、1点気になるのは、
徹底してウクライナ政府の声を入れていないこと。
ヤヌコーヴィチ氏すらない。
 
意図的に敵対者の感情をなるべく描かないようにしている。
まったく画面上に映ってないわけではないけれど。
 
 
おそらく、「ウクライナ市民の見た革命」という視点では、
相手の感情を描きすぎるのは、
テーマがブレると思ったのかもしれない。
 
 
どちらの意見が正しいと言うわけではないけれど、
どんな事情があるにせよ。
「人が人の命を奪った」
この事実は変えられないので、
同じことを繰り返してはいけないと思うのです。

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