″映画感想″ 大怪獣のあとしまつ

東映と松竹の映画大手が並び立つ
貴重な映画の話。

大怪獣のあとしまつ

データ

公開：２０２２年
製作国：日本
監督：三木聡

あらすじ

人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然、死んだ。
国民は歓喜に沸き、政府は怪獣の死体に「希望」と名付けるなど
国全体が安堵に浸る一方で、河川の上に横たわる巨大な死体は
腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、
ガス爆発の危機が迫っていることが判明。
　
大怪獣の死体が爆発し、漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば
国民は混乱し、国家崩壊にもつながりかねない。
終焉へのカウントダウンは始まった。
しかし、首相や大臣らは「大怪獣の死体処理」という
前代未聞の難問を前に、不毛な議論を重ね右往左往を繰り返すばかり・・・。
絶望的な時間との闘いの中、国民の運命を懸けて
死体処理という極秘ミッションを任されたのは、
数年前に突然姿を消した過去をもつ
首相直轄組織・特務隊の隊員である帯刀アラタだった。
そして、この死体処理ミッションには環境大臣の秘書官として、
アラタの元恋人である雨音ユキノも関わっていた。
果たして、アラタは爆発を阻止し、大怪獣の死体をあとしまつできるのか!?
そして彼に託された本当の〈使命〉とは一体―!?
出典：映画『大怪獣のあとしまつ』公式サイトより引用

「怪獣」という現象が、日常となり、
そして、災害と化す。
　
その模様をコメディでまとめた一本。
　
物語のけっこう序盤で
大体のオチは想像つくので、
あとは、いつ「それ」が起こるのか
ハラハラしながら見られた。
　
　
冒頭、なかなか怪獣を見せないながらも、
怪獣がもたらした日常の変化を見せていく手法は、
けっこう、興味をそそられる作り。
　
例えば、ドッキリで緊急避難警報を流しても、
「もうっ！」で済ませられるくらいには
日常は回復したと。
　
警報に怯えてた時もあったのかな。とか。
思いをはせられる。
画面に映らなくても怪獣を感じる作り。
　
なんか、こういう映画最近見たなぁ。
あ、「桐島、部活やめるってよ」か。
　
映画のタイトルにもなっている
「大怪獣」を見せないということは、
ともすれば、Ｚ級映画になりがちだけど、
上手くいってると思いました。
　
　
ついでにタイトルの件でもうひとつ。
　
実は、この映画「あとしまつ」というのが
ミスリードになっていて。
　
大怪獣をなんとかするぞ！という見えてることの裏に、
本当の「あとしまつ」が隠れていたりする。
　
それは、主人公アラタの持つ
「かくしごと」に関係する。
　
映画のラストは、
「それができるなら、
早めにやったほうが良くなかったか？」と
思っちゃうような展開が待ち受けるんだけど。
　
アラタの「かくしごと」を考えると、
二度と、恋人・友人・知人に会えなくなる
そんな、ためらいが事態の悪化を招いたんだろうな。と。
そう思うと腑に落ちる。
　
　
「あとしまつ」があるのは、
実はアラタだったわけだ。
　
　
　
まあ、そういう映画でした。
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ただ、ここから個人的意見だけど。
　
全体的な印象としてすごくＴＶドラマとかマンガっぽい。
それが、鼻につく。
　
セリフ回しとか、アクションのつけ方とか、
本当にＴＶドラマなんだよね。
　
会議のシーンとか、決められた言葉をしゃべってるだけで
議論しているように見えないとか。
全ての笑いに、いちいち突っ込んでいく。とか。
　
あげていくと、細々出てくる。
それが映画と嚙み合わせが悪い。
　
巷の評判のひとつに、
ギャグが寒いという意見が目立つんですが、　
ひとつ、ひとつのギャグ的な要素とかは、
本当に今風の。
『SPY×FAMILY』とか『ONE PIECE』とかと、
クオリティ変わらないんですよね。
同じレベル。
社会風刺的なギャグでもないし。
　
だけど、不思議なのは、
これが映画になると許せなくなるらしい。
要するに、ＴＶとかマンガとかと
違う見方をしてしまうものなんだろうな。
だから、同じ作り方をしてもダメだというわけだ。
　
映画って奥深い。
　
　
　
ＴＶ的だな。って感じたのは、もうひとつ。
展開がぶつ切りなところ。
　
３０分のドラマ４本を段積みで
見せられてるような感覚。
　
おそらく、毎週見てもらうための「引き」の作りを、
そのまま映画に落とし込んでるんじゃないか。
そんな印象です。
　
オダギリジョーさんなんて、
出会ってから退場まで
本当に３０分くらいですよね。
　
　
だから、３０分毎に区切ってみると、
それぞれに強い要素や、
新事実が出てくるため、
まあまあ、成立してるけど。
　
流れで見ると、
前と後ろで矛盾めいたものが出てくる。
　
　
毎週やるものって、
次回も見てもらうことが大事で、
終わりまでの展開を考えずに
作ることもあるらしいから、
最初と最後で、矛盾が発生するのはままあること。
　
なんなら、１話ごとに話のテイストが違うことも
よくあること。
　
それが、まんま出ちゃってるのが
「大怪獣のあとしまつ」な気がした。
　
　
実はこれ映画じゃなくて、
ドラマの企画としてはじまってるんじゃないか？
そんな、変な勘ぐり方をしたくなる。
　
　
というわけで、
「大怪獣のあとしまつ」の
個人的なおススメの見方は、
３０分毎に区切って、
１週間に１回見る時間を作る。
それで４週に分けて見る。
　

これですね。
　