「多様性、多様性」って言われるけど、
そもそも多様性ってなぜ必要なの?
それは、
生物が生き残るために進化した証だから。
今回はこちらの本を読んだ
覚え書きを残したいと思います。
「生物学」って文字面だけみると、
お勉強感が出ますが、中身はそんなことなく。
口語体で書かれた文章もあいまって、
すごく読みやすいです。
さて、多様性ですが。
その最たるものは、
「オス」と「メス」がいること。でしょう。
「オス」と「メス」はなぜいるのか?
理由はシンプル。環境を生き残るため。
生物の目的の1つが「種の存続」
増やすだけだったら、
自分のコピーを作ればいいだけです。
・・・アメーバのように。
しかし、それだと環境が変わった時に、
全滅する可能性があるのです。
例えば、すごく寒がりの人がいたとすると、
自分のコピーたちは、みんな寒がりになります。
寒波がきたら一巻の終わりです。
そこで、生き物たちが行き着いた方法が、
遺伝子をシャッフルすること。
ウイルスとの生存競争も引き金になり、
生物はどんどん進化し、
やがて、子を育てるために卵子が生まれ。
遺伝子を運ぶために精子が生まれ。
それぞれのシステムを最大限に
活かすために適した存在として、
オスとメスに分かれた。
そう考えると、
人が1人として、同じ個性を持たずに生まれてくるのは、
生き残り戦略の証だったんですね。
「みんなちがって みんないい!」
たまに、「奇人」「変人」を異質なもの。
とする風潮がありますが。
その良し悪しを決めるのは人間ではなく、
環境なのかもしれません。
環境が変われば立場が変わることは大いに
ありえますからね。
ちなみに、多くの生物では子を育てないオスは
ただ食料などの資源をムダに消費するやっかいものです。
だからこそ、
けっこうメスにさんざんな扱い受けてます。
ライオンとか、カマキリとか・・・
オスに生まれたのが人間で良かった。。。
人間社会の多様性
さて、オス・・・男性が自分らしく生きられる
人間社会。
こうなったのは理由がありまして。
それは「人は助け合いができる」こと。
全ての動物の中では人間は弱者であると
あちらこちらで言われております。
しかし、こうして生き残っています。
そのために取った戦略が
寄り添って生きることなんですね。
環境が不安定な時は、
お互い助け合わなければならなかった。
それが変わったのが、
化石燃料使った技術の進歩。
グローバル化だと本書では語っています。
生活が豊かになった現代では、
命の危険は少ないですから、
「個人の幸せ」に着目されていきます。
1人で完結すると、
多様性も薄れていくんではなかろうか。
違うものを受け入れにくい。
という。
関連で一つ。
面白い話がありました。
それは「優生学」です。
才能ある人の優秀な遺伝子のみを
選抜していくこと。
1907年から1923年まで
実際にアメリカで施行された法律「断種法」
これは、犯罪者や障碍者を強制的に
避妊手術をする。
かつてのナチス・ドイツにも、
似たようなものがありましたね。
ホロコーストという。
さらに健康で美形の男女を強制結婚させて
民族の品種改良も試みていたりします。
ここ日本にも
1948年から1996年まで
試行された法律があります。
それは「優生保護法」
内容は「断種法」とほぼ同じ。
豊かになるにつれて、
人間は多様性を軽視し始めたのかもしれません。
地域の多様性
多様性のテーマの1つとして、
「外来生物」があげらています。
各地域固有の動物、植物が、
それぞれの自然のサイクルを形作っています。
そのサイクルを壊してしまうのが、
「外来生物」です。
人間の行動によって連れてきてしまった
生物たちのことです。
ヒアリとかアライグマとか。
普通だったら、
日本の自然は、日本固有の種に有利な
環境なので、外から来ても馴染めず、
自然淘汰されるはず。
なんですが!
急速なグローバル化によって、
外からの生物も暮らせるようになって
きているんですね。
こういうことが増えると、
どうなるかというと、
外来生物に固有種が淘汰されていき、
世界中どこに行っても、
同じ風景、生態系になってしまいます。
多様性が失われる危険が出てくるのです。
多様性がなくなると、
いざ暮らしの環境が変わった時に
絶滅の危険が出てきます。
最初の話ですね。
これは日本だけで見ても同じことが
言えます。
地方が衰退していき、
日本独自の多様性がなくなると、
はたしてどうなるのか・・・。
最近、世の中でも言われている。
ビジネスにおける多様性ですが、
この自然の摂理に近い部分があると思います。
東京一極集中だと、
いずれ、全滅する恐れもあるでしょう。
おわりに
この本を読むと、
面白いことに、人間は生物としての本能から
なかなか逃れられないものだなぁ。
と感じます。
反対に、なんとか本能から
解き放たれようとあがいているのが、
人間という生物なのかもしれません。
なかなか良い読書体験でした。
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