【スペイン版セーラムーン】マジカル・ガール 感想

映画

ダメおやじが、愛娘のために空回りする
ハートフルストーリー!

・・・の皮を被った、
サスペンス映画
「マジカル・ガール」の感想です。

マジカル・ガール【Blu-ray】 [ ホセ・サクリスタン ]

データ

公開:2014年(日本では2016年)
製作国:スペイン
受賞歴:第62回サンセバスチャン国際映画祭作品賞 グランプリほか

あらすじ

白血病で余命わずかな少女アリシア。
彼女の夢はアニメ「魔法少女ユキコ」の衣装を着て踊ること。
 
そんな娘を持つ父・ルイスは
失業中の身でありながら
願いを叶えるため奔走する。
 
しかし、彼の行動は
思わぬ方向へ。
 
心に闇を抱える女性バルバラ
元教師のダミアンを巻き込み、
悲惨な事件を引き起こすことに・・・。

始まりは、ささいなすれ違い。

お父さんと一緒に過ごしたいアリシア。
 
白血病の娘のために、
欲しいものを買ってやろうとする父ルイス。
 
 
娘の求めるものに気づかず、
見当違いなことをしてしまう父という構図。
 
「そうじゃないんだよ、お父さん!」
 
いつ、すれ違いに気づくんだろう。
そんな、モヤモヤした気持ちで見てました。




途中までは。
 
具体的にいうとバルバラさんが出てくるまで。
 
この人、何かの薬を常用してて。
登場から闇が漏れ出てる。
そして精神科医である夫の言うことに従順。
 
そんなルイスとバルバラさんは、
とあることがきっかけで、
一夜限りの肉体関係を持ちます。
 
そのことをネタに、
ルイスは「旦那にばらす」として
バルバラを恐喝しはじめるんですね。
 
とうとう犯罪に手を出してしまう、と。
 
一銭も稼げない親父が、
なんとか金を作ろうとした結果の悲劇。
 
 
ここから面白いように
いろんな関係が狂っていきます。
 
 
いや、本当に。
想像だにしなかった最後にいくんですよね。。。

で、そこまでいくと「マジカル・ガール」の
意味に気づきます。
 
2人の小悪魔にね。
 
男は、いつだって女の手のひらで
コロコロされるものなのさ。。。
 
 
物語についてはココまで。
あんまり書くと、ネタバレしそう。
というわけで、ぼんやりとしたことしか
書けないのが歯がゆいところ。
 
 

ここからは構成の話。

この映画は、とにもかくにも
余白の作り方が上手い!
 
 
余白とは、
「これって、こういうことかも!」
ついつい頭の中で考えちゃうことです。
 
推測を無意識のうちにたてちゃうんですね。
で、それが「当たってるかな」と思いながら見るので、
自然と夢中になっていきます。
 
余白の作り方はいろいろありますが、
まず、登場人物たちの背景があまり語られません。
 
 
言葉にすると、
物事が確定しちゃう
ので。
推測はしなくなります。
 
なので、どういう人なのか、
セリフのふしぶしで
感じ取られるようになっている。
 
特にバルバラと元教師ダミアンの関係。
実はダミアンは10年間服役しているのですが、
出所する際に「ダミアンが怖いから出たくない」と
語ります。
 
これって、もしかしなくても
「そういうこと」があったってことですよね。。。
 
 
そして、見せ方。
 
暴力のシーンでは、
暴力を受ける側の顔を見せません。

 
映画始まりと終わりが対になる構成。
 
バルバラがSMクラブで手にした白紙のカード。
 
全てに意味がありますし、
セリフで語っていなくとも、
画面で説明する。という、
実に映画らしい手法が使われています。

だからこそ、
不思議なことに難解な映画にはなっていないんですね。
 
 
特に印象的なのは
ジグソーパズルのカットです。
 
残りの1ピースがどうしても見つからなくて
完成しない不完全なパズル。
 
 
誰がそのパズルをやっていて、
そして、最後の1ピースはどこにあるのか。
 
注目してみると、面白いかもしれません。
2回見ると、複線の多さに感動すると思います。
 
 
 
余談ですが、この映画を監督した
カルロス・ベルムトさんは
「美少女戦士セーラームーン」から
影響を受けていると語っています。
 
言われてみると、
どことなく、セーラームーンっぽさが
あふれている。
 
テーマは全然違うけれど、
日本の魔法少女の文脈がこの映画には
秘められています。

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