【動画編集の参考本】「大本営発表」正しいメディア批判とは?

書籍

太平洋戦争時の日本の戦果を
ご存じだろうか。

戦中の公式発表をまとめると

連合軍の戦艦43隻を沈め
空母に至っては84隻沈めたそうだ。

ちなみに、
日本側の損害は
戦艦3隻
空母4隻が沈められたそう。

目が飛び出るほどの結果だ!

こんな大勝利をあげたのに、
何故、負けたのだろう。

実は、これは真っ赤なウソ。

実際の戦果は

戦艦4隻
空母11隻

沈めたにすぎないそうだ。
戦艦は10.75倍
空母は7.6倍の水増し!

そして、
日本側の損害は
戦艦9隻! 空母19隻!!

こんなデタラメ、どこが発表したんだ?
責任者はどこか。

・・・責任者は
「大本営発表」

大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争 (幻冬舎新書) [ 辻田真佐憲 ]

この本で語られているのは

「正しいメディア批判」のやり方であり、

その目を持つことの大切さだ。

大本営発表というのは
そもそも何かというと、
1937~45年8月まで行われた
戦況発表報告のこと。

授業で習うこともあったのでは?

政府とメディアがずぶずぶの関係になり、
真実を報道しなかった―。

分かりやすい反面教師として
知っている人が多いと思う。

面白いのは、
初めから政府とメディアが
結託していたわけでないところだ。

メディアに手を焼いていた政府

ジャーナリズム精神は
最初は批判的だったという。

政府への叩きがひどすぎて、
やめさせたくても、軍人ではないため
押さえつけることができなかったそうだ。

ただ、変化の兆しが見え始めたのは
1931年 満州事変。

スクープを狙って従軍記者を各社が
戦場に送り出す。

そのため、軍との協力が不可欠だった。

それが日中戦争になると、より親密に!
どんどん距離が近づいてきたのである。

ただ、この時はまだ軍も
手を焼いていたそう。

極端な例がある。
ある時、1人の軍関係者が
「〇〇の鎮は取れそう」とつぶやいただけで、

「〇〇鎮占領」というニュースが
勝手に出回っていたほど。

新聞も商売だから、
人に買われるニュースに
ノドから手がでるほど飢えていた。

これに頭を悩ませた政府は、

「報道班員制度」を導入

記者をはじめとした文化人を
軍に徴用した。

つまり、メディアを軍関係者に
取り込んでいったのである。

さらに、1938年には、
「新聞用紙供給制限令」を出し、
大事な紙をおさえられた新聞社は
徐々に政府に従うことになった。

このように、
なし崩し、自然の流れで
政府とメディアが癒着していく。

当然といえば、当然ですけど
最初から結託していたわけじゃない。

この辺りは初めて知った事実でした。

水増しのはじまり、はじまり

真珠湾攻撃のころは、
まだ日本が勝っていたので、
大本営発表が行う放送は正しかった。

勝っているのを偽る必要はないからネ。

しかも!
対する連合軍の報道は正確でなく、
大本営が正しかったため、

「信頼のおける大本営」像が

今後のデタラメ報道を
後押ししていくことになろうとは。。。

転機は
1942年 5月7~8日の珊瑚海戦。

結果は日米両軍とも空母1隻失う、
日本側の辛勝。

にも関わらず、
大本営発表では
戦艦1隻、空母1隻を撃沈させたと
伝えたのだ。

なぜか?

日本側に現地部隊の情報を
鵜呑みにする傾向があったからである。

当時、戦果の確認はパイロットによる目視。
見間違いが起こることも。

しかし、見間違いでは?と思っても
指摘できない空気があった。

「我々の苦労をムダにするのか!」

と現地部隊から怒られるからである。

こうして誇張を受け入れざるを得ない風潮が
徐々に出来上がっていった。

少なく見積もれ!損害状況

戦果を水増しするキッカケは分かった。

では、損害を低くいうキッカケは?

それはミッドウェー海戦。
有名な戦いだろう。

日本軍、主力空母4隻と
エースパイロットたちを総動員した
大一番!

結果はご存知の通り、
空母4隻、全て沈められる大敗。

しかし、
「国民の士気がうしなわれる」として、
違う結果が発表された。

損害、空母1隻喪失、1隻大破。

良かれと思ってついたウソ。
…というわけでもなく、
三日三晩、考え抜いた末に
「これで良いか」で辿り着いた
なんとな~くの答えなのだ。

ちょっとした数字だったが
こうして前例ができてしまったことで、
徐々に、損害を隠すことに抵抗がなくなっていく―。

それどころかエスカレートしていくのだ。

極めつけは言葉を作ったこと。

「玉砕」

「転進」

聞いたことがないだろうか。

戦争後期は日本軍も負けが込み始め
「全滅」「撤退」もめずらしくなくなった。

しかし、そのまま言うことはできない。

でも、事実は曲げられない。

編み出した苦肉の策が

「無策で全滅したわけじゃない、
積極攻勢で玉のように美しく砕け散った」

玉砕

「目的を達成したから別の方向へ
転じて進むことにするよ。
撤退するんじゃないよ」

転進

2つはネガティブな言葉を
ただ美化して言っているだけだった!

正しいメディア批判とは

実は、こうした大本営の情報秘匿は
終戦が近づくにつれ、
気付く国民は多かったそう。

「勝っているはずなのに、戦死者が多い」

といった具合に。

さらには、
新聞記者も勘付く人はいたそうだが、
それが記事になることはなかった・・・。

歴史が語ることはシンプル。

なし崩し、
自然の流れ、
なあなあで進めた結果が
政治によるメディアへの介入。

そして、その先にあるものが
「大本営発表」である。

最後に著者である
〇〇さんはこう書いています。

マスコミ批判は政治との癒着のみにするべき。

マスコミには問題が、たくさんあります。

・偏向報道
・横柄な取材
・特定の誰かへの忖度

しかし、目の前の問題を気にしすぎて
もっと大きな問題を見落としていないだろうか。

メディアに操られない目を持つことも大事だが、
コントロールする目を持つことも大事。

政府を監視する良い道具として、
メディアを使えることが理想だと思う。

実際、戦時中に違和感に気づく人もいたし。
しかし、わずかな良心も後押しする協力がなければ。

「政治はメディアに介入すべし」を
良しとすると、待っている結末は―。

もうすでに言うまでもないことでしょう。

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