極上の映画体験を求めるなら、
文句なしにおススメしたい1作。
・・・なんで今まで見てなかったんだろう。
それがコチラの映画。
データ
公開:2013年
受賞:第71回ゴールデングローブ賞 作品賞、監督賞
第86回アカデミー賞 作品賞 撮影賞、編集賞
・・・などなど
製作:アメリカ/イギリス
あらすじ
スペースシャトルのメディカルエンジニア、
ストーン博士(サンドラ・ブロック)と
ベテラン宇宙飛行士のマット(ジョージ・クルーニー)は、
宇宙空間で船外作業をしていた。
ところがスペースデブリの衝突という予想外の事故に遭い、
シャトルは大破。
宇宙空間に放り出されてしまう。
地表との交信手段も断たれ、帰還手段もない。
さらに残された空気もあとわずか。
はたして、この絶望から生き延びることはできるのか?
ちなみに、
スペースデブリをご存じだろうか。
宇宙ゴミと言ったほうが分かりやすいのかな?
地球の衛星軌道上をぐるぐる回っている
人工物のこと。
その正体は、
機能停止した人工衛星や
宇宙で切り離されたロケットの部品。
このスペースデブリは、
時速3万キロで周回しているため
回避するのは困難。
衝突されたらひとたまりもない代物です。
それが運悪く、主人公ストーン博士たちの乗る
スペースシャトルに衝突してしまう。。。
お話自体はとてもシンプル。
絶望的な状況に追い込まれた主人公が
どうやって生きのびるか?
しかも登場人物も
ほぼほぼストーン博士だけですし。
舞台も宇宙空間ということで、
すごいロケーションがあるわけではないです。
シチュエーションがシンプルでも、
心を打つものが作れるというのが、
映画のすごいところ。
「物事は突き詰めるとシンプルになる」
とはよく聞く話。
では、感想。
リアルさを追求した宇宙
宇宙空間では
空気抵抗や摩擦などがなく
一度動き出したら、止まることは難しい。
ストーン博士が何度か吹っ飛ばされるのですが、
止まる術がないので、
ずーっとまわり続けます。
それがストーン博士目線で描かれますが、
カメラがぐるぐる回り続けるので
人によっては画面酔いをするかもしれません。
また、無重力で浮遊し続ける物体。
人、モノ、そして涙まで
全て浮遊し、漂っています。
実は映画で無重力表現を徹底している作品は
すごーく少ない!
あのスターウォーズでさえ、
重力のある動きです。
そして、宇宙空間が無音。
シャトルがデブリで粉砕されるときは
無音になってたりします。
空気がないため音が伝わらないからですが、
この徹底したリアルは
宇宙が無機質で私たちを突き放しているような、
そんな感覚になります。
いっぽうで
専門的に見ていくと現実にはおかしい、
映画的な脚色も多々あります。
それはあげるとキリがありませんが。
ただ、映画のリアリティは
「信じられる!」ってことだと思うんです。
例えばライトセーバーは
現実には存在しませんが、
スターウォーズの世界ではありそうでしょ。
「この世界ではこういうことなんだ」と
信じられる作りになっているのが
映画のリアリティじゃないかと。
そういう意味では
充分リアルな映画で本当に
宇宙空間で撮っているかのようでした。
映画体験を実現する長回し
やはり特徴的なのは1カット長回し。
特にオープニングは13分間
一度もカットを割っていないし、
その後も、1カットが長いショットが多い。
カットを割ると、
どうしても時間の跳躍が生まれる。
映画のウソの部分だ。
例えば、
夜のカットから朝のカットへつなげることで
次の日、という表現をするアレ。
そういうことがないため、
主人公のリアルな時間を共有できる。
「ゼロ・グラビティ」は90分の映画ですが、
映画内で起こることも大体90分。
この時間感覚の共有が、
よりこの世界観に没頭できるというか。
鑑賞というより体験といえる部分だろうと
思っています。
「バードマン」や「1917」を観た時も
感じましたが、
長回しという手法は体験を生むのに
うってつけなのかもしれない。
大変そうだけど。
そのほか細かいポイント
ネタバレしたくないので、
ふわっとになりますが。。。
パラシュートのヒモが
ピンチを生み、チャンスを作る。
ひとつの道具が
ピンチとチャンス、両方作るところが面白い。
けっこう、そんな道具が出てくるので、
パズルがピタッとはまるような
気持ちよさがありますよ!!
そして、この映画、めっちゃ泣けます。
ええ。本当に。
SFサスペンスだと思って
油断してたら、やられます。
大体ストーン博士の相棒
マットのせいなんですけど。
ほどよく泣ける映画終盤では
「ストーン博士、生き延びてくれ!」
と手に汗握り、祈っていることでしょう。
まんまと、監督の術中です。
おわりに
実は「ゼロ・グラビティ」は
邦題で、
現代は「Gravity」
セロなんかつかないです。
正直な話。
映画を最後までみたら分かりますが、
「ゼロ」って余計じゃないかな。
まあ分かりやすいですけどね。
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