透明人間。
というと、私のようなアラサーが
真っ先に思う特徴は以下の2つ。
●包帯でぐるぐる巻き。
●いつでもサングラス。
包帯をほどくと、
そこには本来あるはずの顔がなく、
空間が広がっているだけ。
そんな透明人間像とは違い、
新しい試みをしたのが、
コチラの映画。
公開:2020年
製作国:アメリカ・オーストラリア
あらすじ
セシリアは、恋人である科学者のエイドリアンから DVを受ける毎日を送っていた。 そんな支配から逃れるため、 ある日、脱出を企て、見事成功! やがてセシリアの元に、 エイドリアンは悲嘆のあまり自殺したとの 知らせが届く。 しかし、その日を境にセシリアの周りで 不可解な出来事が起こり始め・・・。
原作は、1897年にH・G・ウェルズが発表した
同名小説。
いや~、歴史が古い!
ゆえに、これまで何度も映像化されてます。
最初の映像が1933年の映画かな?
この時は、包帯ぐるぐる巻きでサングラスでした。
透明人間をテーマにした作品は数多くありますが、
大体、包帯とサングラスなのは、
このイメージを踏襲してるのでしょうか。
私が初めて見た透明人間は、
香取慎吾さん主演のドラマです。
1996年の作品でコミカルな作風でした。
ひょんなことから、透明になる薬を手に入れた男が
透明人間になってしまうんです。
この薬で透明になるところがポイント。
透明人間をテーマにした作品の共通点は
薬で透明になる。ことです。
怪奇現象ではなく科学的なことから、
ジャンルとしてはSFになるのかな。
薬で透明になるため、
衣服までは透明にできず、
見えなくなるためには「素っ裸」になるわけです。
なんかそれってマヌケな気が・・・
ですが、2020年版、映画「透明人間」は
違ったアプローチで透明になります。
ヒントは「プレデター」
昔とは違ったSF的アプローチを
しています。
この透明化はSF心をくすぐるらしく、
こんな記事も見つけました。
https://www.mugendai-web.jp/archives/5365
科学の進歩に驚くばかり。
そういえば、前置き長すぎて
映画の話をしてなかったですね。
この映画の面白いところは、
余白の多さにあります。
人物は端に置かれて映し出されており、
画面の中心は、何もない空間が占めるカットが
多く使われています。
「もしかして何かあるのか」
この奇妙な画作りは、
こちらの想像力を膨らまして、
すごく不気味です。
それとは別に、
透明人間という物理的に見えないもの
ばかりでなく、
もう一つの透明な恐怖が
セシリアを襲います。
それは人の心
エイドリアンは巧みに
セシリアの家族・友人の心理を操り、
彼女は「透明人間がいる」と妄言を言う、
頭のおかしい人なんだと信じこませていくのです。
見えない鎖でがんじがらめになって
精神的に孤立していくセシリア。
そして、明かされる謎。
なぜ、エイドリアンはセシリアに固執するのか?
ただ、最後まで分からないこともあります。
「セシリアは本当にただの被害者なのか?」
映画のラストの解釈を悩むところ。
額面通りに受け取ることもできるし、
深読みすることもできる。
ってなわけで、
個人的には楽しめたエンターテイメント映画でした。
そのほかにも、
主演のエリザベス・モスさんが魅せる
やつれた演技はすごい!
肌が荒れ荒れで、
お世辞にもキレイと言えない
顔立ちになったりします。
この辺り、女性でここまでやるのも
なかなか勇気いるよなぁと。
そう思うのでした。
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