ピアノは打楽器。
美しくも荒々しい音色が印象的な映画
「4分間のピアニスト」の感想です。
出典:ギャガ株式会社 ホームページより引用
データ
公開:2007
製作国:ドイツ
受賞歴:第9回上海国際映画祭 金爵賞ほか
あらすじ
ピアノ教師として女性刑務所にやってきた80歳のトラウデ。
ある日、彼女はピアノの才能にあふれた逸材、
ジェニーと出会う。
服役中のジェニーは、かつて天才と騒がれていたが、
今は所内で暴力を振るう問題児となっていた。
ジェニーの才能を開花させたいと
特別レッスンをはじめるトラウデ。
しかし、全く違う世界で生きていた2人は、
お互いを理解することができなくて・・・。
教師のおばあちゃんが、
すれた問題児を優しさでさとしていく・・・
そんなほんわかストーリーだと思っていました。
が!
とんでもない!
80歳のトラウデも、めちゃくちゃ強い。
頑固にぶつかりまくる。
良い意味で裏切られた映画でした。
元・天才ピアニスト、ジェニーは
過去に他人から受けた酷い仕打ちの数々から、
かな~り、すれにすれた人間となっていて、
自分以外、全員敵!
と言わんばかりに、周りとの衝突が絶えません。
看守をボッコボコの病院送りにしますからね。
それに対し、トラウデは、
自分に絶対服従することを条件に、
彼女を支援することを約束します。
このばあさん、一歩もひかないの。
ジェニーに対して、
服従の証として依頼書を食え。
とか言い出すからね。
この辺りから、
なんか「この映画普通じゃない」と
思って、ワクワクしながら見てました。
お互いがお互いに、
他人に理解してもらえない秘密を
抱えており、
打ち解けていくのと比例して
少しづつ秘密が明かされていきます。
この描写で、
徐々に心が近づいていく2人が分かるとともに、
とてつもなく縛られた、自由のない世界で生きている。
そんな共通点も見えてきます。
ネタバレだから書かないけれどね。
そして、どうしようもない閉塞感を
抱えて生きているのは、
みな同じってことにも分かってきます。
人間生きていくうえで、
一番大切なのは「理解しよう」という
心構えなんじゃないでしょうか。
文にすると、重そうな話な気がしますが、
なにぶん、トラウデとジェニーは
エネルギッシュすぎるので、
その勢いにのっかって
一気に最後まで見れてしまいます。
ここで私が衝撃を受けたシーンを2つ紹介。
1_とんでもないオープニング
ジェニーが目を覚ますと
ルームメイトが首を吊ってるという
衝撃すぎるはじまり。
しかし、何事もなく、
ルームメイトの服からタバコを拝借して
吹かし始めるジェニー。
この一連だけで、どういう人間なのか
知りたくなってしまう。
つまり、続きが見たくなってしまう。
そんなシーン。
2_ラストの演奏は圧巻!
物語が進むにつれ、
いろんな人の、いろんな思惑で
好きな曲を自由に奏でることも、
ままならなくなっていきます。
ですが、
終盤、映画のタイトルにもなっている
「4分間」しか演奏できない舞台が出てきます。
そこで魅せたジェニーの演奏が
まさに魂の叫びともいうもので、圧巻です。
正直、こんなピアノ演奏見たことない。
ピアノってそう使えるの?
ピアノってそう使ってもいいの?
そんなシーン。
思わずお辞儀を返したくなるラスト。
ちなみに、このシーンの一連で、
酒は飲まないって言っていた
トラウデがワインがぶ飲みするところも
地味に好きです。
とにもかくにも、
中心にいるにのは、女性なのに、
少年マンガのような、
めちゃくちゃな熱さを感じる映画でした。
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