【編集の参考映画】「レスラー」 感想

映画

ラム・ジャム!ラム・ジャム!!

それは、相手をマットに沈める
必殺のエルボードロップ!
 
まばたきは罪だぜ!
 
つーわけで、
この映画を見て叫ぼう
「ラム・ジャム!」

レスラー【Blu-ray】 [ ミッキー・ローク ]

データ

公開:2008(日本では2009)
製作国:アメリカ
受賞歴:第65回ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞ほか

あらすじ

80年代、一世を風靡したレスラー、ランディ。
 
しかし、20年の時を経て、
すっかり落ち目となったランディは、
スーパーでアルバイトしながら、
プロレスをかろうじて続ける日々。
 
そんななか、長年のステロイド投与がたたり、
心臓発作を起こし、現役続行が困難となってしまう。
 
1人娘と疎遠なランディは
孤独に苛まれながらも、
自分自身と向き合わなければならなかった。
 

冒頭から、もう面白い。

プロレスラーはエンターテイナーである。

それを示すカットが、
テンポよくたたみかけてきますす。
 
 
筋トレはもちろんのこと。

攻撃のタイミングの打合せ。

どんな技を繰り出して、
どんな技を受け止めるのか。

対戦相手同士での、
盛り上がる展開の演出を入念に相談する。

そして、見た目。

日サロに行ったり、
ムダ毛の処理をしたり、
髪の毛を金髪に染めたり。

ショーキャラクターとして、
観客を喜ばせるために、
真剣に取り組む姿。

のぞいてはいけない、
手品の種明しを見ているようで、
舞台裏を映す一連のカットはワクワクします。
 
特に、デスマッチ。
派手な流血シーンの裏側は面白い。
 
かつてコメディアンの志村けんさんが、
テレビで語っていた、ドリフの裏話に近い。
 
タライを痛くなく、かつ痛そうに落とす演出。
 
それだと思いました。
デスマッチ系だと、
血が流れてるだけでハラハラしますもんね。
 
 
いっぽうで、
隠しきれない「老い」も表現されています。
 
主人公ランディは、
文字を読む時は老眼鏡をかけていたり。

体のふしぶしに巻かれたテーピングなど、
この辺りはギャップを感じて愛しく思います。
 
そして、悲劇の引き金は
この老いからくる選手生命の延命として
筋肉増強剤、ステロイドの投与ーー。
 
 
レスラーひとすじに
不器用に生きるランディは、
突然生きがいを失うのです。
 
ライフワークが奪われる悲しみ。
 
大事なものが無くなった時、
手元に残るのはなんだろうか。
 
 
そこで初めて、
ランディはこれまでほったらかしにしてきた
一人娘と向き合うのです。
 
そして、思いを寄せる女性に
積極的にアプローチしたり。
 
徐々に、別の道を模索し始めます。
 
ただ、やはりそこは不器用な男。
そんなにうまくいくはずもなく・・・。
 
 
ランディには3つの世界があります。
それを示すのは彼の名前。
 
1つ、知人と過ごすときは相性のランディ。
 
2つ、リング上ではラム。
 
3つ、スーパーで働くときは本名のロビン
 
映画「ムーンライト」でも、
同じことを思ったのですが、
彼がどこに居場所を求めたのか?
 
それは最後にどの名前を選ぶのか?
で、示されます。
 
これが映画の結末です。
 
 
本当に悲喜こもごもな
複雑な感情を抱くラストです。
 
なんかドキュメンタリー映画を見ているような、
そんな気持ちになりました。 
 
 
そう感じたのは、
ランディの感情の機微が
全て状況で示されるところ。
 
セリフで説明しないため、
分かった気にならない、というのかな。
 
何を思っているんだろう?

と考える状況作りが、
よりディープに「レスラー」の世界に
のめりこむ。
 
それとも演技力が生み出した画作り、か。
 
 
特に気に入ったのは「音の使い方」ですね。

激しい音楽が鳴り続けるわけではなく、
いろいろな効果音・環境音が
たくみに使われます。
 
例えば「歓声」とか。
 
スーパーのスタッフ通用口をくぐる時に
歓声が鳴り響くんです。
 
ランディにとって、
総菜売り場に立つことは、
闘いなのだろうか。

それとも第二の人生を告げる鐘か?
  
いろんなことを考えちゃいますね。
 
 

では、
ラム・ジャム!

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