【編集の参考映画】バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)レビュー

映画

今回紹介する映画は。

ある人は意味が分からない。と一蹴し、
ある人は濃密な時間だったと絶賛する。

真ん中の評価が少ない印象を受ける映画です。

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)【Blu-ray】 [ マイケル・キートン ]

データ

公開:2014年(日本では2015年)
受賞:第72回ゴールデングローブ賞 作品賞 脚本賞
   第87回アカデミー賞 作品賞 撮影賞 ・・・などなど
製作:アメリカ

あらすじ

「バードマン」というヒーロー映画で一世を風靡したリーガン。
しかし、それも過去の栄光。
すっかり落ちぶれた彼は、再び栄光を取り戻すべく、
自身で脚色した舞台に挑む。

だが、娘との関係、自分より優れた役者との出会いを経て
次第に彼の精神にほころびが見え始め・・・。

まず、本題に入る前に。

映画内での劇中劇に少し触れておきます。

本編でリーガンが脚色した台本の元となったのは、
「愛について語るときに我々の語ること」
小説家・レイモンド・カーバー(1938-88)氏の短編小説だ。

どういう話かと言うと、

二組の夫婦が酒を嗜みながら会話を楽しんでいると、
ふと話題が「愛」についてになっていた。

愛について、深く語るうちに、
お互いが持つ「愛」の価値観が違うことに気づく。

そんな話。
これが物語の大事なモチーフとなっている。

あらすじを知っているだけでも
より楽しめるかもしれません。

ちなみに私はこの本の存在を知らなくても
楽しめました。

ヒーローはお子様向け

主人公リーガンをつとめた
マイケル・キートンさんは過去バットマンを演じ、
まさに、物語の主役と重なる部分も。

かつて、
日本の特撮ヒーローものは、
これに出演すると「役の幅が狭くなる」として
あまり、良い印象はなかったそうです。

「ヒーローはお子様向け。」
ちょっと低く見られていたわけです。

アメリカでもそうなのでしょうか?

ここに照らし合わせると、
かなり、主人公のひっ迫具合が共感できます。

また、マイケル・キートンのほかにも、
近年のヒーロー映画経験者が出演しています。

映画が公開された時期は、
アベンジャーズ人気もあり、
ヒーローブームみたいなのが起きてましたし。

そういった栄枯盛衰を皮肉った、
ブラックジョーク満載。
それが、映画「バードマン」

分裂していく精神

薬物依存から更生中の娘と
リーガンはギクシャク。

言い争いばかりで、良い関係とは言えません。

そして、
自分よりも実力が上の俳優・マイクが舞台に参加。

マイクはかなりの問題児で、
やることなすことトラブルが絶えません。

マイクのことで、かなり印象に残っていることを
1つ紹介しておきましょう。

舞台上でベッドシーンがあるのですが、
マイクが相手の女優に対し、
「ほんとに勃ってきちゃった!」と言って
観客の前で本当に女優とヤろうとするわけです。

最高にぶっとんでてヤバいやつです。

そんな、あらゆる問題に頭を悩ませるリーガンに
ある声が聞こえます。

「お前はそんなもんじゃないだろ?」

それは、かつて演じたバードマンの声。

誰しも自分との葛藤ってあると思います。
「昔はもっとやれたし、今だってもっとやれる!」
そんな自問自答を映画的に視覚で表現してくれます。

バードマンと、リーガンの戦い!
しかし、それははたから見ると、
「1人で暴れている危ない人」に見えてしまう。

マンガでは、脳内の空間がフワフワした感じで描かれ、
分かりやすく表現されますが、
この映画ではシームレスに表現されるので、
どこまでが現実で、どこまでが頭の中の出来事なのか。

曖昧になっていきます。

でも、現実の私たちも脳内に
お花畑を描いて悩むことはないので、
リアルな葛藤を描いていると思います。

次第に強まるバードマンの声。
精神が追い込まれるたびに
もう1人のリーガンが主張を強くしていきます。

そして、追い込まれたリーガンがとった行動とは?

彼は再び、はばたくことができるのでしょうか?

ワンカット演出

バードマンはわずか数日の出来事を描いています。

そんなバードマンの演出で面白いのは、
全編1カメショーとなっているところ。

始まりからエンディングまで
1カットで撮っているような見せ方です。

これが不思議な効果を生み出していて。

通常、こういった長編映画は
カットを割ることが普通。

これにより、時間跳躍の演出とかできます。

しかし、ワンカットにして、
ある男の1日に忠実に追従することで、
次第にリーガンの気持ちに自分が重なっていくような
変な感じになります。

この手の演出で頭を悩ませるのは、
日が変わった時など、時間経過をどう見せるか?
ですが、かなり上手くやっていて、
視覚的な気持ちよさもあります。

バードマンのような、
登場人物の精神に肉薄する場合は、
けっこう効果的なのかもしれません。

おわりに

難しい!という意見が多い「バードマン」

ただ、映画というのは
見た人が「どういう意味を持たせるか」
楽しむエンタメでもあるので、
「絶対にこの映画のテーマを探ってやる!」
という意気込みで見ると、
かなり息苦しいと思います。

特に、この「バードマン」のような映画はね。

さて、次レビューする映画は
「ヲタクに恋は難しい」という
別の角度で評価が難しい映画です。

見ることは見たのですが、
何て書けば良いのか・・・。

うーん、悩む。

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