【編集の参考本】映像編集の技法 感想

書籍

「スター・ウォーズ フォースの覚醒」
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
「アベンジャーズ」など、
名だたる映画から、
 
「ブレイキング・バッド」
「グレイズ・アナトミー」
「ザ・ソプラノズ」など、
有名テレビ番組まで。
 
どの映像作品にも欠かせないもの。
 
それは「エディター」
つまり「編集マン」
 
そんな、彼らへのインタビューを
まとめた本の話。

映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術 [ スティーブ・ハルフィッシュ ]

中をひも解くと、
編集のスケジューリングから、
素材のまとめかた、
監督、その他技師とのコミュニケーションまで、
 
「編集者あるある」が、
どっしり詰まった超マニアック本!
 
テクニック指導書というよりは、
自己啓発本かも。
 
編集のやりかたに正解はないので、
多種多様なやり方を知れる、、、
 
意外と海を越えてもやり方は同じ!
という部分に気づくことができて楽しいです。
 
そして、エディターはみんな細かい!
フッテージ(編集する前の動画)の名前のつけ方にまで
こだわりがある。。。
 
ただ、全員が重要視している点が
あります。
 
それは、ペース配分とリズム
 
ペース配分とは、シーンをどれだけの長さで見せるか
リズムとは、ショットの切り替えのタイミング。
 
なぜ、それが大事かというと、
エディターは物語の語り手だからです。
  
 
実をいうと、脚本通り。
文章では上手くいっている!と思っても、
つなげて初めて構成上の課題や
ミスが見つかることも。
 
たとえば、結末が見え見えだったり。
 
そんなときに、
脚本の行間に隠された言葉をみつけて、
リライトする役目、
映像で物語を書くのがエディターたちです。
 
特にドキュメンタリーなんかは、
思惑と別のものが撮れたりするので、
製作中に脚本が描かれることもしばし。
 
なので、エディターたちの力は
はかり知れません。
 
ストーリーを動かすのに必要な要素、
それがペース配分とリズム。 
 
 
 
まずはペース配分について。
 
短く矢継ぎ早に並び立てるだけでは
いけません。
 
情報をかみしめる時間が必要なときもある。
 
さらに、
短くしすぎると逆に長く感じることも。
充分なキャラも情報も出ない、
意味のないシーンが出来上がるだけ。
 
まんま、いらないよね。ってなりかねん。
 
もちろん、1つのシーンに
長くとどまりすぎるのも良くない。
 
ディナーに例えると、
1つ1つが素晴らしくても、
メインディッシュはなんこも食べられない。
   
  
続いて、リズム。

マシンガンのように、短くカットが
バンバン変わる動画は、
見た目カッコよさそうな気がしますが、
切り替えないほうが本当のことを
言っているように見えることも。
 
リズムは1つ1つのカットで決まるわけでなく、
複数並べたときに、初めて見えてきます。 
 
 
それぞれに適した時間を考える。
これってシンプルゆえに、とても難しい。

 
こういった、ペース配分やリズムを
操る技術はたくさんあります。
 
 
1つは、
音声と映像をバラバラに使う。

 
肩越しのショットを使うことで、
口元の動きが見えない役者は
違うセリフを使えます。
 
画面分割することで、
異なるOKテイクを
同居させることもできます。
 
会話のテンポすら変えてしまう技術。
ある意味、俳優を生かすも殺すも編集次第。
 
 
2つめは、インターカット。
 
インターカットとは、
異なる場面が映像で交互につながること。
 
これによって、間延びしそうな
シーンでもテンポをあげることができます。
 
やりすぎると、話がちぐはぐになり、
頭に入って来ないデメリットもあるので注意。

技術は見せびらかすものではない。
編集に気づかないのが良い作品。
 
 
3つめは、音響。
 
音響は、映画の半分を占め、
ビジュアルを引き立てる秘密兵器。
 
「ようこそ映画音響の世界へ」という
ドキュメンタリー映画を見ると、
分かりやすいので、おススメ。
 
効果音は、見るものを前のめりにし、
 
カット間の背景音を埋めることで、
つながりをなめらかにする。
 
ビジュアルだけでは、
欠けていたスケール感をあたえます。
 
逆に、あえて音を入れすぎず、
「風のうなり音」で静寂を強調することや、
 
イヌの吠え越えだけでも「誰かくる!」と
伝えることもできます。
 
 
そして、音楽。
 
サイレント映画ですら、実際は無音でなく、
劇場でオーケストラによる伴奏がついていました。
 
音楽はめちゃくちゃ力を持ってます。
 
ただし、音楽は問題を隠してしまう劇薬でもあると
語っています。
 
シーンに特定の色を与えてしまい。
映画の醍醐味である曖昧さを殺してしまう。と。
 
言っちゃ、あれですけど。
知人の結婚式ビデオとか音楽なしでは
最後まで見れない。。。
 
  
音楽はシーンをサポートするものだけれど、
シーンをどのように感じるか告げるものではないのです。
 
自分の編集したものを音を消して見ると、
シーンが長く感じることもしばし。
そういう時は、リズムが上手くとれてないんでしょうね。
 
 
音についても、熱く語っていまして。
心に響いたのは、
 
「いまは、事前にストーリーを察知させたがる。」
「ストーリーを語りすぎている。
わざわざ肩をたたいて知らせるようなもの。
余計なお世話。」

 
だそう。
 
悲しいシーンが来る前に、
悲壮感漂うメロディが流れるとか、
そういうことを言ってるんだと思います。
 
次のシーンを予感させる音を
つけすぎているとね。
 

以上、自分が気になったものを
書き留めてみました。
 
 
そのほか、書き切れないほど、
こまかーい、こだわりがあります。
 
自分と似た人が見つかるかもしれません。

ちょっと、特に心に残った言葉を
簡潔にまとめてみました。
 
「編集によってストーリーを伝える醍醐味は、
少ない言葉でどれほど多くの言葉を伝えられるか。」
 
「編集ソフトは簡単に手に入る、
編集できる人は大勢いる。
心を揺さぶれるかはまた別の話。」
 
 
肝に銘じようと思います。

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