【話題のドキュメンタリー】コレクティブ 国家の嘘 感想

映画

無関心は人を殺すのか?

64名が命を落とす大惨事となった
ルーマニアのライブハウスで起きた火災事故。

しかし、実は死者の半数以上は、
政府と医療機関の癒着が原因だとしたら?

国家vs.市民のドキュメンタリー!

コレクティブ 国家の嘘

出典:公式パンフレットより引用

製作国:ルーマニア、ルクセンブルク、ドイツ
公開:2021年

公式ホームページ:映画「コレクティブ 国家の嘘」公式サイト|10月2日(土)ロードショー (transformer.co.jp)

最近公開されたばかりの、
今、話題の映画!!

ドキュメンタリーとはいえ、
映画である以上、演出がほどこされています。

「いつも、そんな感じで会議してないだろ」とか
思う部分もありますが、
そのおかげで単調にならず、
見やすい作りになっています。

ただ、演出があるといっても、
カメラが映し出すのは紛れもない現実。

その事実が何よりも恐ろしい。

事の発端は2015年。
ルーマニア・ブカレストのクラブ、
「コレクティブ」でライブ中に起きた火災事故。

27名の死者と180名の負傷者を出し大きな問題となります。
このあたり、火災が起きた瞬間の映像もあり、
いっそう悲惨さが際立ちました。

しかし

さらに、物議をかもした出来事が!

一命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々に死亡。
最終的に、院内で死亡した患者は37名。
合わせて64名もの人々が亡くなったのです。

なぜ彼らは亡くなったのか?

その謎を2部構成で語るのが
「コレクティブ 国家の嘘」です。

第1部 スポーツ誌ガゼタ

前半の主役は、
地元スポーツ誌・ガゼタの記者たち。、

カタリン・トロンタン記者を中心とした
彼らは、
事件を不審に思い取材を進めていくと、
とある、内部告発を得ることができます。

そこで明らかになる衝撃の事実!

なんと、消毒液が10倍に薄められて使われていたんです。

そのため、傷口から細菌が入っても消毒の意味を成さず、
患者たちは感染症で亡くなっていたことが分かります。

ここで湧き上がる謎
「なぜ、こんなことをしたのか?」

裏どりを進めるうちに医療機関と政府との間に
黒いお金の流れが判明します。

それは、
消毒液を節約して浮いた金をワイロにしていた―。

記者たちが問題があると訴えても、
政府の発表は「そんな事実はない」の一点張り。

しまいには、消毒液メーカー、
ヘキシ・ファーマ社の社長が
突然の自殺。

あまりにもタイミングが良すぎる死は、
はたして・・・?
 
 
 
この1部で印象に残っている言葉があります。
「メディアが国家に屈する時、国家は国民を虐げる」

第2部 若手・保健相大臣

疑惑にまみれた政府に市民たちは怒り、
医療を担当する保健相の大臣が変わります。

後半の主役は、この大臣。
ヴラド・ヴォイクレスク氏。

腐りきった国家の医療制度を
変えようと奮闘する33歳の超若手です。

しかし、改革案は法律の制度によって阻まれ、

さらに、対立政党や市長までもが敵となり
数々の妨害にさらされます。

加えて、いつまでも改革できないヴォイクレスク氏を
市民は糾弾しはじめます。
まさに四面楚歌。

あきらめずに改革を進めますが、
しかし、活動も長くは続きませんでした。

選挙が始まったのです。

選挙の結果、ヴォイクレスク氏の政党は
対立派に大差で敗北。

この時、若い世代の投票率は全国民のわずか1割程度でした。

若者の投票率が低い。
どこかで聞いた話ですね。
確か日本は・・・
 
 
 
第2部の印象に残っている言葉も。
紹介します。
ヴォイクレスク氏の父が言った言葉で
「ちがう国の話を見ているみたいだ」
「この国が目覚めるのには30年はかかる」

おわりに

映画には、全身に大やけどを負い、
指がなくなっているのにも関わらず、
生き残った人が出てきます。

いっぽうで、
10%しか火傷しなかったのに、
亡くなってしまった人もいます。

明暗を分けたのは、
自国で治療を受けたか、
外国で治療を受けたか。

この映画を見ていると、
とても、よその国とは思えない
身につまされる話が多く、
はたして日本の私たちは大丈夫なのか?
自問したくなります。
 
 
 
 
最後に。
ドキュメントの見せ方や取材の執念など、
参考になる部分も多く、
私にとって忘れられない作品となりました。

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