【動画編集の息抜き本】「推し、燃ゆ」推すには覚悟がいる

書籍

「推し」
「炎上」

2つの言葉が
特別な意味をその裏に秘めるようになって久しい。

私の勝手なイメージだが、
オタク、マニアの間で使われる一つの専門用語みたいなもので、
これらの言葉を使いこなせるようになると、
初めて、その世界の一部になった気がするのだ。

仕事だってそうだろう。

推し、燃ゆ [ 宇佐見 りん ]

芥川賞受賞作。

アイドルファンである
1人の少女が、

炎上し、
アンチがつき、
人気が低迷し、
謝罪会見し、
そして引退。

という現実でも目にする過程を
どういった目線で辿ったのか。
それを書いた小説だ。

「推し、燃ゆ」
暦本さん的に言えば、
この5文字以上に
物語を表すクレームはないだろう。

たぶん、読んだ人なら
わかりみが深い。と思うに違いない。
(この言葉もいつまで使えるかなぁ。)

推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。
まだ詳細は何ひとつわかっていない。
何ひとつわかっていないにもかかわらず、
それは一晩で急速に炎上した。

「推し、燃ゆ」P3より引用

物語のこの出だしから思ったけれど、
私の少ない読書遍歴では、
ちょっと、これまで読んできた小説と違い、
かなりの生々しさを感じた。

読み進めるたびに、それは増していき、
色っぽいとはまた違う、
なんだろう、覗いてはいけないものを
覗き見ているような…。

フィクションなのに、
リアルに迫る―。

虚構と現実の狭間のような不思議な感覚。

ただ、少女がアイドルを拠り所にし、
オシャレをやめ
食事をやめ、
勉学をやめ、
歩くことをやめ、
全てを捧げていく、
その姿は狂気に溢れている。

しかし、この物語は誰も傷つけない。
誰にも危害を加えていない。

にもかかわらず
「もうやめて!」
と叫びたくなるほどの
妄信的な情熱があるのだ。

良くない結末がチラついて。
読むことが憚られるのに、
ページをめくる手が止まらない。

そして、彼女は最後どうなったのかー

その時、ベランダからカラスの鳴く声がした。

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