人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。
「自分の中に毒を持て」P11より引用
僕は逆に、積み減らすべきだと思う。
財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、
かえって人間は自在さを失ってしまう。
こんな出だしから始まるのが、
芸術家・岡本太郎さんの自叙伝だ。
今よりも環境をもっとよくしたい!
とするには、
勉強に勤しんで何かを得ることが重要だと、
そう考えていたけれど
稀代の天才は全く違うことを見据えていた。
この本には
岡本太郎さんの代名詞でもある
「芸術は爆発だ」とは何なのか?
その言葉に秘められた
岡本流「人生の歩み方」の心得が詰まっている。
こういったエッセイ、自叙伝は
往々にして、一流の!プロの!
だからできるんでしょ!
というような、上から押し付けてくるような
圧迫感を抱くことが個人的には多いのですが、
例えば次の一文を読んでみてください。
自分の運命を賭けていけば、
「自分の中に毒を持て」P33より引用
いのちがパッとひらくじゃないか。
どんな人生を歩んだらこんな表現ができるんだろう?、
芸術性が言い回しにも出ている。
不思議と頭に入ってくる言葉だ。
この本を読んだ熱が冷めやらぬうちに、
自分なりの解釈をここに置いておきます。
捨てるとは何か?
岡本さん曰く。
人間は自分を特別だと思っている。
(「ファクトフルネス」でも「スマホ脳」でも
「人を動かす」でも言ってましたからね。
人種、国、年代が違っても同じということは、
たぶん、これは真実なんでしょう。)
内心、社会への恐怖感を全員持っているのに、
自分自身の弱さを誤魔化して生きており、
弱い自分を守るため、運命に惰性的。
例えば、「農民の子は一生農民でそこから出るわけにはいかない。」
というような考えで、
狭い枠の中で自分を守ってカッコよく生きようとする、
そんな自身に甘えている。
だそうだ。
そこから脱却してみようよ。と。
自分のダメな所を、平気でストレートに認めて、
その上で、人間らしく生きる道を考えてほしい。
つまり「偽った自分を捨てろ!」と言うこと。
その解決法というか、
荒療治かもしれませんが、
「これでいいか」「どうせ俺なんて」
と考えるより、
あえて自分の弱い部分に挑戦するのも
ひとつの手だと言っています。
人間にとって成功とはいったい何だろう。
「自分の中に毒を持て」P29より引用
結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、
努力したかどうか、ではないだろうか。
やりたいことがあるなら、
その情熱のままに生きればいいじゃない。
型にはまらずにさ。
以上が私なりの解釈ですね。
一言で言うならば、
「岡本流、人生を爆発させる方法」
…って意味わからんな。
でも、爆発にどんな思いが込められているかは
伝わるでしょう。
いったん、ここまでが本の感想だけど、
最後にこれだけ書かせてほしい。
個人的に面白いと思った考え岡本さんの考えだ。
「キレイ」と「美しい」は全く違う
美しいというのはもっと無条件で、絶対的なものである。
「自分の中に毒を持て」P199より引用
ひたすら生命がひらき高揚したときに、
美しいよいう感動がおこるのだ。
「醜悪美」という言葉も立派に存在する。
「自分の中に毒を持て」P200より引用
「醜いきれいさ」なんてものはない。
「美」の絶対感に対して、「きれい」は
あくまで相対的な価値である。
本書では美人で例えていたが、
時代ごとに「美人」の型は変わるもので、
「ふくよか」が良しとされていた時代には
現代の「美人」は良い印象には見えなかっただろう。
常に基準の変わる型どおりのものが「キレイ」、
普遍的なものが「美」
だそうだ、
今、芸術屋が作っているのは「商品」にすぎない。と
強烈なことも言っています。
例えば、「手づくりのよさ」と言う時、
手で作ったというだけで、機械の対極に置かれるけれど
昔、手づくりしかなかった時代は、
職人の仕事は機械製品のようなものだった。
だから、手づくりというのは小手先ではなく、
心で作れば、器用でなくていい。
とも言っています。
なぜ、最後にこれを書いたかというと、
職業柄、とても参考になりそうな指針だと思ったので、
最後tにこれだけ、自分の中に留めたかったのです。
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