現代芸術はマンガより理解が簡単。
日本で現代アートといえば、
必ず名前があがるであろう人物の一人、
村上隆さんの著書・「芸術闘争論」の
感想です。
前作「芸術起業論」よりも、
作品戦略について、ディープに村上節で
書かれております。
配色の設計まで、こまか~く、
緻密な計算のもと考えて制作されていることが分かり、
へぇ。の連続でした。
さて、この書のなかでは、
一貫して、アートにはルールがあるといっています。
けっこうこれは大事で、
どんな分野の仕事でも、スポーツやゲームのように、
それぞれのルールがあります。
ルールを理解しなければ、
楽しむことも、稼ぐこともできないんですね。
というわけで、ルールを覚えましょう。
そのルールはマンガより
覚えるのは簡単ですよ。といっているわけです。
本当に??
いやいや、ウソでしょ?!
と、思ったのは私だけではないはず。
・・・ないよね?
そんな私が、
この本にのめり込んだ一文を紹介。
絵画を見る時人は、絵をどう見ているかというと(中略)
出典:芸術闘争論 P56より引用
専門家も素人も、やっぱり絵をスキャンしているんです。
ピカソを例に出していました。
ピカソの絵はめちゃくちゃですが、
模写をすると、オリジナルと違わない絵ができてくると
いわれているそうです。
それは、スムーズに構造をスキャンできるから。
ピカソの絵は見やすい。
美術をかじっている人には釈迦に説法かもしれませんが、
個人的にはちょっとこれは面白そうだぞ。
と、なりましたね。
では、そのアートルールとやらは、
なんなのかというと、こちらの4つの要素
1_構図(目線の移動をどう誘導するか?)
2_圧力(美術を作る時の一枚に対する執着力)
3_コンテクスト(歴史、状況でどんな意味を持つか)
4_個性
なかでも、面白かった
構図とコンテクストについて、
ちょっと感想を。
構図について
絵画の見方というのは、画面の四角から目が離れないというのが
出典:芸術闘争論 P55より引用
大事です。
四角(よすみ)にまでいきわたる支配力。
それが構図の極意らしい。
下に、本書の一部を引用します。
出典:芸術闘争論 P109より引用
これは、並みの絵かきが考える
視線誘導のパターン。
出典:芸術闘争論 P110より引用
それもって、こちらは
村上流、視線誘導のパターン。
前者は、よくもわるくも普通。
しかし、後者は、
これだけでなんか面白そう!
ほかにも視線の誘導例が載っていました。
本当にチェスみたいに考えられていて、
おもしろいですよ。
ちなみに、
「天国のお花畑」という作品を検索してみてください。
こんな密集したものにも、目線の移動がある。
作品解説も本書で書いていたりしますので。
気になったらチェックしてみるのもいいかもしれません。
コンテクストについて
その作品が、
歴史。状況の中でどんな意味をもつか?
ということだそう。
アートは、ハイアートとロウアートの
大まかに2種類あるらしく、
それぞれ、どういうことかというと、
ハイアート
歴史に残っているアート。
または過去のアートを分析して歴史に挑戦するもの
ロウアート
ローカル的。落書き、アウトサイダーアートなど
「イラスト」
コンテクストは「ハイアート」を
作るための考え方。
ピカソの構図を取り入れたとか、
ピカソの絵画をぶっ倒そうとか。
そういったことらしい。
間違ってたらごめんなさい。
つまり、絵画そのものの歴史が
深くかかわってくる。
どれだけのコンテクストを
一枚の絵の中に詰め込めるかが大事。
なので、ピカソだけでなく、
ポロックとか、マティスとか、
いろ~んなものが前提にあるわけです。
教養がないと作れないってことですね。
マンガのほうが現代アートよりも理解が
難しいというのは、こちらの要素が大きいです。
日本のマンガは、
例えば「ドラゴンボール」を知らないと、
理解しにくい作品があります。
ドラゴンボールの構造を埋め込んだもの
ドラゴンボールの構造を崩したもの。
で、さらに
ドラゴンボールの構造を崩したものを
崩したもの。
とつながっていたりします。
やっかいなのは、世界的な現代アートと違って、
日本というローカルに閉じているものが多いので、
海外からすると知るのが難しい。
こんな視点で見たことないから、
面白いですね。
おわりに
教養がなくてもアートたりえるのか?
で、生まれたのが
村上さんの「スーパーフラット」という考え方だそう。
ハイアートとロウアートを
ごちゃまぜにしてしまおう。と。
いや~、アートの見方が変わりますね。
ちょっと、アートの考え方は
今後の生かせそうな気がします。
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