“ティーン・ホラー”『イット・フォローズ』感想

映画

赤の他人が自分に向かって歩いてくる。
それだけなのに、畏怖の念を覚えるのはなぜか。
そんなホラー映画の話。

イット・フォローズ

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データ

公開:2016年(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:デビッド・ロバート・ミッチェル

あらすじ

19歳のジェイはある男から“それ”をうつされ、
その日以降、他の人には見えないはずのものが見え始める。
動きはゆっくりとしているが、
確実に自分を目がけて歩いてくる“それ”に捕まると
確実に死が待ちうけるという。
しかも“それ”は時と場所を選ばずに襲ってくるうえ、
姿を様々に変化させてくるのだ。
いつ襲ってくるか分からない恐怖と常に戦い続けながら
ジェイは果たして“それ”から逃げ切ることができるのか!?

出典:映画『イット・フォローズ』オフィシャルサイトより引用

ジェイソンだって、ターミネータ―だって、
あるいはゴジラとか。
あいつらただ歩いてくるだけ。
なのに、圧がすごい。
 
その要素を突き詰めた感じの映画。
 
 
劇中“それ”としか表現されていない存在は、
どうやら人のカタチをしているらしいぞ。
ってことが序盤で分かる。
そのカタチは様々で。
長身の男性だったり、老婆だったり、
女性だったり、元カレだったり・・・。
 
ただし、他の人には見えない。
 
“それ”が、歩いてくるだけなんだけど、
触れちゃいけないって、本能的に感じちゃう。
 
 
派手なビックリ演出はないものの、
ところどころに潜む「お分かり頂けただろうか」演出。
 
カメラがグルグル回って景色を映してる中で、
遠景にチラッと人影が見える。
よくよく見ると、
それがカメラ側に近づいてくる。
 
気づくと怖気が走る、ヤバさ。
 
「ほんとにあった!呪いのビデオ」を知っている人なら
分かると思うけど、それに近い怖さがあるんだよね。
主人公たちの背景に、ひっそり霊が映ってる。
実は、リアルに怖いのは何気ない日常に潜む何かだったりする。
 
友人の後ろから2mはあろうかという男性が
にゅっと出てくるシーンとか、
なんか、怖さ突き抜けて笑えてくる。
 
“それ”というのが、死の予兆であるのは分かるんだけど、
幽霊なのか、なんなのかは明言されない。
 
ただ、他人に移すことができるという特徴がある。
その移し方というのが、「セックスする」こと。
この設定から、エイズないし性病の具現化なのではないか、
そんな考察もある。
 
生き残るためには、一夜限りの関係を
手当たり次第に結ばなければならない。
 
ある意味で、10代の「夜遊び」には、
恐怖の裏返しがあるのかも。
そんな暗示が隠されている映画にも感じました。
 
その恐怖というのは、
誰かに愛されていたい。
誰かに知っておいてもらいたい。
 
 
映画の結末は、観客に託されている。
個人的には、恐怖と向き合って
生きて行かなければいけない。
 
そのために、真実の愛が必要。
 
そんなエンドに思いました。

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