“ドラえもん好きにおススメ”『かがみの孤城』感想

書籍

ファンタジーな雰囲気にみえて、
しっかりミステリー。
ヤングアダルト小説の話。

かがみの孤城

かがみの孤城

著者:辻村深月

あらすじ

あなたを、助けたい。

学校での居場所をなくし、
閉じこもっていたこころの目の前で、
ある日突然部屋の鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、
城のような不思議な建物。
そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―。

出典:ポプラ社 かがみの孤城 より引用

中学生が主役のミステリー。
 
SF好き・・・ドラえもん好きなら
舞台の秘密にも、物語の結末も
わりと早い段階で想像つくんじゃなかろうか。
そういう意味では、中学生版ドラえもんともいえる、
そんな作品。
 
 
だけど「中学生」というのがミソ。

中学生はめんどくさい。
虚勢、羞恥、反発心、
とにかく壁を作りたがる時期。
ゆえに悩みを抱え込んでしまう時期。
 
かつて庵野秀明監督は、
これを「ATフィールド」という壁として
視覚化した。
 
そんな「壁」が物語の進行を妨げる
良いストレスとなっている。
 
 
謎に早く気づくほど、
主人公たちの一向に気づく気配のない、
やり取りにヤキモキする。
というのも、心の壁のせいで
コミュニケーションをまったく取ろうとしないから、
物語が進まないのだ。
 
 
中学生のなかでも、
わけあって、学校に通えなくなった子供たちのため、
心の壁が普通より分厚い。
大人の目線で考えれば些細な事でも、
中学生にとって学校は「世界の全て」だったりする。
この繊細な描写がすごくリアル。
主人公、こころの心象描写は、
胸が締め付けられる。
 
 
ミステリー読む側としては、
さっさと答え合わせしたい!
そんな衝動にとらわれてしまうのだけど、
そうもいかない、中学生のリアル。
 
そんなストレスが溜まりに溜まった分。
最後の解放感がヤバい。
ラストは想像ついてもウルッときた。
私、この手の話には超弱い。
 
 
ドラえもん好きならおススメ。

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