“ブラックコメディ″ 『聖なる鹿殺し』 感想

映画

オカルト的ホラー映画かと思いきや、
心理サスペンス映画だった話。
 

聖なる鹿殺し

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア【Blu-ray】 [ コリン・ファレル ]

データ

公開:2018年
製作国:イギリス、アイルランド
監督:ヨルゴス・ランティモス

あらすじ

心臓外科医スティーブンは、美しい妻と健康な二人の子供に恵まれ
郊外の豪邸に暮らしていた。
スティーブンには、もう一人、時どき会っている少年マーティンがいた。
マーティンの父はすでに亡くなっており、
スティーブンは彼に腕時計をプレゼントしたりと
何かと気にかけてやっていた。
 
しかし、マーティンを家に招き入れ家族に紹介したときから、
奇妙なことが起こり始める。
子供たちは突然歩けなくなり、這って移動するようになる。
家族に一体何が起こったのか?
そしてスティーブンはついに容赦ない究極の選択を迫られる・・・。

出典:映画「聖なる鹿殺し」公式サイトより引用

理性がぐちゃぐちゃになる、
いい意味で趣味の悪い映画です。
 
 
はっきりとは明言されませんが、
マーティンは、スティーブン家に
ひとつの呪いをかけます。
 
ほうっておけば、
妻、息子、娘、愛する3人の家族が
死んでしまう。
そんな、呪い。
 
 
性質(たち)の悪いことに
呪いは、ガンのように、
症状が徐々に重くなるというもので。
それが下記の順番です。
 
1、手足が麻痺する
2、食事を拒否する
3、目から血を流す
4,死に至る

 
カウントダウン式に呪いは進行していく。
この徐々に重くなるのがポイントです。
 
呪いのルールをスティーブンは
始めに告げられるので、
「ここまで症状が進行した、やばい!」と、
どんどん焦って、
行動がおかしくなっていく。
 
 
もうひとつ、
呪いには性質の悪いルールがあって。
妻、息子、娘
誰か一人の命を奪うと、
残りの人間は助かる。
 
誰も選べなければ、
3人とも、死んでしまう。
というもの。
 
 
ここまでくれば
お気づきだと思います。
 
“聖なる鹿”とは生贄のことなのだ。
 
鹿が聖なるものというのは、
どうやらギリシャ神話の考えらしく、
ギリシャ出身の監督ならではのモチーフ。
 
 
まあ、そんなわけで、
“誰を殺すか?”
 
言い換えれば、
“誰を残すか?”
 
そんな究極の選択に
追い詰められていく主人公スティーブン。
 
 
終始、重苦しい話で進むんだけど、
終盤、スティーブン家全員が
自己保身に走るくだりとかは
コメディ
だよねあれ。
 
三者三様にゴマすりしだして。
 
殺すなら○○だよね。って
会話が平気で飛び交うあたり、
もう、ひどいのなんの。
 
ただ、笑うに笑えない状況でもある、
かな~りブラックコメディ。
 
特に、「ぐるぐるバット」しだした時は、
笑って良いのか、めちゃ迷った。
 
 
まあでも、本作最大の自己保身は、
主人公のスティーブンだよね。
悲劇の引き金になった“とある秘密。”
 
最初はさ、あまりにもマーティンに
構いすぎるから、
「少年好きなおっさん」かな?って
思ってたんだけど、実は・・・。
その先は見てくれってことで。
 
 
見た人の大体はこう思うはず。
「まったく、悪びれねぇな。
このジジイ。」

 
 
 
そして、終盤のさ、
ポテト!
 
冒頭、マーティンが
「好きなものは一番最後に食べるんだ」って
ポテトを残すシーンがあるんです。
 
それがあったうえで、
映画の最後にそのポテトを
真っ先に食べる奴がいるんだけど、
食べる奴に注目してもらいたい。
 
マーティンが最後まで残そうとしたヤツは、
スティーブンなわけですよね。
呪いのルールでは死なない人物です。
いわば、一番苦しんでもらいたい相手。
 
では、そんな
スティーブンを最も好きな人物とは?
 
 
いや~、悲劇が続きそうで、
なかなか尾を引くラストだった。
 
 
 
全然、関係ない話だけど、
ベッドシーンにて。
 
女性が男性をセックスに誘うときに、
足元に枕が来るように、
逆向きに寝転がる。
 
これって、どこのルールなんだろう。
ちょっと、新しい発見でしたね。

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