今見ると、何かの暗喩を感じる、
映画の話。
アトラクション 制圧
データ
公開:2017年
製作国:ロシア
あらすじ
流星群に紛れて、
モスクワに突如墜落した
巨大な宇宙船。
ビルをなぎ倒し、多くの死傷者が出る中、
ロシア政府は戒厳令を敷き調査に乗り出す。
その一方、軍の司令官を父に持つユリアは、
宇宙船に乗ってきた異星人のヘイコンと出会う。
宇宙船の修理がすみ次第、
地球を離れるというヘイコン。
ユリアは彼が故郷へ帰るための手助けをするうちに、
好意を抱いていく。
しかし、宇宙船墜落による被害者たちは、
異星人に対すして深い憎しみを抱き、
避けられない戦いが起ころうとしていた。
なんといっても
冒頭のシーケンスが秀逸。
宇宙船のCGの出来もさることながら、
スクランブルする戦闘機。
おそらく、ここは本物。
車輪のアップ。
コックピットの内部。
離陸。
小気味よいテンポでパパっと続くショットは
純粋にカッコいい。
だって本物だし。
そして、このリアルとCGのカットバックが
良いリズムで続くことで、
シーン全体に“実在感”が生まれ、
宇宙船が墜落したことで、何が起こるんだろう。
とワクワク感は最高潮!
冒頭シーケンスの作りは
非常にうまいすね。
ビル倒壊と、セックス中のカップルと
交互にカットが切り替わっていくのも好き。
生と死が交差する、趣味悪い絵面です。
ただ、物語が進むにつれてアラが目立ってきます。
そのひとつは、
ケガした宇宙人を助けるために病院に忍び込むくだり。
わざわざ、知り合いの医者を呼ぶのに、
彼を利用するわけでもなく、
こっそり・・・いや、大胆に病院に侵入。
医者に助けを求める話はなんだったんだ???
そのほか、
簡単に侵入されすぎな、軍事施設。
・・・司令官の娘と言っただけで、
身分確認せずに入れるのあり?
とまあ、
ツッコミどころは多々あり。
さらに、本筋にからまない脇役でも
ムダに時間かけて見せるところも気になる。
例えば、
級友のSFオタク。
思わせぶりな見せ方する割に
いなくても話が成立するという。
ちょっと、映画としてどうなの?
ってツッコミどころはあるのだけれど、
ひとつ、面白いのは武力批判が入っているところだ。
「殴られたからって、戦争を仕掛けるのは間違ってる
赦す心も必要だ。」
的なニュアンスのセリフが途中、
わざわざ尺をとってはさまる。
急に何言ってんだ?と思うけれど、
同じように、戦いは間違ってるとする
描写は多い。
例えば、民間人が、警官にボコられるシーンとか。
・・・ここは観客に「間違ってる」と思わせる描写ですね。
それを際立たせるのが、軍の描写。
ロシア軍をすごく良識あるように描かれているんだけれど、
持ち上げれば持ち上げるほど、
軍の存在をそもそも否定するような描写がより際立つ。
最高の皮肉になってるわけ。
そう考えると、宇宙船というのは、西欧の具現化みたいなもので。
それに怯えて、ロシア国内がてんてこまいになる。という、
何かの暗喩にも見える、不思議な映画です。
どうやら、このアトラクション、
続編があるみたいなのですが、
ちょっと、見るのは考えますね。
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