“中毒性ドキュメンタリー”『コヤニスカッツィ』感想

映画

全編ナレーション無し!
説明が何もないにも関わらず、
目が離せない、
中毒性のあるドキュメンタリー映画の話。

コヤニスカッツィ

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※「カッツィ」3部作のブルーレイ。

データ

公開:1984年(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:ゴッドフリー・レジオ

 
全編ナレーション無し、
どころか、環境音すらなく、
ずーっと、音楽が流れてるのみ。
音楽も、かな~り特徴的で、
「コヤニスカッツィ・・・」と
祝詞のようなつぶやきが繰り返される。
 
下手すると、環境映像に見えるような作りなのに、
なぜか最後まで飽きずに見れた。

そんな、ドキュメンタリー映画。
自然へ文明がどう介入しているかをテーマにしていて、
個人的には、いろんな「流れ」を撮った作品だと思う。
 
 
モニュメントバレーの絶景・空撮からスタート。
大地が川の流れで風化して生まれたモニュメントバレー。
そして、川の映像が続く。
 
水の「流れ」という直接的なものから、
ちょっと変わった「流れ」も表現している。
それは「人の流れ」
 
タイムラプス的な早回しの手法で
人の動きを撮っていて、
この表現が人流を川のように見せてて面白い。
 
たとえば、
路上の行列や、高速道路の車の動きなど。
特に車の動きは、タイムラプスで撮っているから、
テールランプやヘッドライドの明かりが
一本の線のように見えて、より「流れ」を感じる。
上りはテールランプの赤。
下りはヘッドライドの白。と色が違うので、
血液の流れみたいな幻想的な風景。
 
 
この早回しで、見てて思ったのは、
人の時間が個人で違うってこと。
カフェのイスに座る人を中心に据えたショットが
あるんだけど、
座っている人は、ほぼ動きがないので、
通常速度かと錯覚する。
しかし、周りの風景はめまぐるしく動いているので、
線がカフェのまわりを飛び交っているような、
おかしな、空間ができていた。
 
人によって、体感する時は違うってことなのか?
 
似たようなシーンに。
工場のベルトコンベア。
ベルトにのっているものに動きがなく、
周りが慌ただしい。
 
 
こういう不思議な画作りも魅力的ながら、
たぶん、伝えたいのは、
流れは「循環」する。ってこと。
 
水の循環で考えると、
雨、地下水、川、海、そして雨と繋がっていく。
この輪は、どこかが変わると、
どこかに影響が出る。
目まぐるしい勢いで循環した文明は、
どこへ行くのか。
 
 
時おりはさまる疲れたような顔。
ビル爆破。
文明の象徴的なロケット発射。
そしてロケットの爆発・・・。
 
 
ラストカットで気づいたのだけれど、
もうひとつ、大きな「流れ」を
この映画は描いていたのかもしれないと思った。
 
それは「時間」である。
 
ファーストカットを覚えておけば、
分かりやすいかもしれない。
「ふりだしに戻る」ってことなのかも。
 
そう思えば、
車の並びと戦車の並びを同じ構図で撮ってるのも、
時の流れという意図があったのかもなぁ。

そして、映画も数ある芸術の中で、「時間」を芸術に取り入れたものとして知られている。
 
 
いろいろ、面白い試みが詰まった、
実験的な本作。
 
 
そういえば、
「コヤニスカッツィ」の意味が、
一番、最後に出てきます。
これ見ると、
「なるほど!そういうことだったのね。」
 
そんな、してやられた感を味わえます。

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