田辺聖子さんによる
全部で9つの愛と別れを描いた
短編小説集。
ジョゼと虎と魚たち
表題作だけ読んで、
ずーーっと、埃かぶってた1冊。
買ったことまるっきり忘れて
最近、全部読みました。
読み進めてみると、
男性では書けないような
ネットリした雰囲気の
エロティシズムな表現が多く新鮮な気持ちに。
加えて特徴的なのは、
セリフが全て関西の言葉遣い。
大阪なまりだったり、京都なまりだったり。
あんまり私には聞きなじみない言葉遣いですが、
不思議とするする読めました。
関西なまりだと、人懐っこい印象が出るのは
なんででしょうかね。
ちょっとずるい。
女性の恋愛は惚れた腫れたの
単なるそれではなくて、
少しばかりの打算もあるのだ。
ほぼ全ての話で
主人公は女性。
そして手に職を持ち、
経済的に独立している。
ぶっちゃけ男性なんていてもいなくてもいいし、
家庭におさまらなくていい。
というか家庭におさまる器ではない。
そんな彼女たちは
何を求めて恋愛をするかというと、
刺激。
日々の活力を得るためのね。
男性視点で見ると、
頭の中、欲でいっぱいなのは、
男だけじゃなくてホッとした。というか。
ただし、単なる欲だけでなく、
女性のほうが
現実的で先を見据えているという。
そんな印象を受けました。
全9編の中でも
やっぱり「ジョゼと虎と魚たち」は
いっぷう変わっていて。
この話の「女性」であるジョゼは、
自分の人生を思うとおりにできない人物であること。
そして、男性目線があること。
並べて読むと、
この作品が際立った印象になるのは
今さらな発見でしたね。
あんまり読まないタイプの小説でしたが、
読み終わってみると・・・私は好きやデ。
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