“今年のBEST10″『プアン/友だちと呼ばせて』感想

映画

文句なしに今年1番見ごたえのある映画の話。

プアン/友だちと呼ばせて

出典:映画『プアン/友だちと呼ばせて』公式サイトより引用

データ

公開:2022年
製作国:タイ
監督:バズ・プーンピリヤ

あらすじ

ニューヨークでバーを経営するボスのもとに、
タイで暮らすウードから数年ぶりに電話が入る。
白血病で余命宣告を受けたので、
最期の頼みを聞いてほしいというのだ。
 
バンコクに駆けつけたボスが頼まれたのは、
元カノたちを訪ねる旅の運転手。
カーステレオのカセットテープから流れる思い出の曲が、
二人がまだ親友だった頃の記憶を呼びさます。
 
かつて輝いていた恋への心残りに決着をつけ、
ボスのオリジナルカクテルで、この旅を仕上げるはずだった。
だが、ウードがボスの過去も未来も書き換える
〈ある秘密〉を打ち明ける──。

出典:映画『プアン/友だちと呼ばせて』公式サイトより引用

公式のあらすじを読むと、
いわゆる“難病モノ”かな。と予想してたわけですが、
中身はそんなことなかったですね。
 
難病でも頑張るっていう、
お涙頂戴的なやつじゃなくて。
「難病を理由にさあ、お前卑怯だろ」って
突っ込まずにはいられない、
未練タラタラな男の、情けない話。
 
どうして、そんな話がここまで目を離せない作品になるのか。
これは、もう魔法です。
 
 
何しろ扱ってるものが、
元カノへ会いに行くという、
すごく、ミニマムな話なのだ。
 
戦闘機を乗り回すわけでも、
恐竜を復活するわけでも、
巨大宇宙人がやってくるわけでもない。
 
しかも、余命宣告を受けたから
かつての心残りを解消するという、
いわば自己満足のためだけの旅。
 
そんな旅の発端となったウードくんは、
ちょー、自分勝手でいやな奴なんだけど。
まあ、コイツなら仕方ねえか。って気になる。
 
人物の描き方の塩梅が絶妙よね。
 
 
 
前半は、ボスとウードの笑えるロードムービー。
まあさ、思い出ってのは良いモノもあれば、
思い返すのもはばかられるものもあるわけで。
 
普通に、二度とくんな!って
ビンタされるところもあってさ。
元カノみんなが、「会えて嬉しい」に
ならないところが、リアルよね~。
 
二丁拳銃と鳩が出たときは一番笑った。
バズ・プーンピリヤ監督は、
ジョン・ウー監督のファンなのかな。
 
 
それで、後半はというと、
ガラリと転調して、思いもよらなかった展開へ
連れてかれます。
めちゃくちゃに見えた前半が
伏線のかたまりだった事に気づくので。
軽いアハ体験があるやも。
 
とりあえず、最初に出てくる曲の名前を
後半まで覚えておくと良いと思う。
そんなとこまで繋がってんの?って思った。
 
 
 
やっぱり
「バッド・ジーニアス」の監督だけあって、
全カット、グラフィカルでオシャレ!
真似したくなるほど、カッコいい!!
 
もう、オープニングから満点です。

好きなのはサイドミラ―越しに、
カメラが引いていくやつ。
めちゃくちゃ印象に残ります。
 
1カットの情報量が多いので、
複数回見ても、新たな気づきが生まれて楽しいはず。
 
 
あと、カセットテープになぞらえた、
演出も好き
ですね~。
テープをかけかえると場面転換するという。
オシャレだなぁ。と。
さらに、カセットテープで録るしかなかった
時の積み重ねを感じるし、
何よりテープじゃなきゃダメだったんだよね。
 
テープの大きな特徴はA面とB面があること。
通常A面を最後まで聞くと、
巻き戻しをしなきゃいけないんですけど。
巻き戻しをせずに、
今度はテープを逆さにしてまわすことで、
裏の曲を聞ける
んですよね。
 
このテープの特性がさ。
映画のテーマとひとつ重なると思っていて。
「物事は人によってとらえ方が変わる」
「過去に縛られずに生きる」という。
ウードのお父さんも、
あきらめずに進み続ける的なことを言いますし。
 
今時カセットテープ?って思ったけど、
見終わってみると、
カセットテープに意味があったんだ。って。
それでいてさ、
最後はカセットテープが使われないんだよね。
これの意味するところは・・・。
 
 
役者の人たちもすごくて。
特に、ウード役のアイス・ナッタラットさん。
白血病を演じるために、めちゃくちゃ減量してますよね。
さらに、いさぎよく頭を丸めてるし。
説得力が、段違いに生まれてる。
 
 
ちょっと最後に、バズ・プーンピリヤ監督が
地味にすごいと思ったのは、
過去、現在、妄想と、めまぐるしく
シーンが変わるのに混乱しないこ
とですね。
特にナレーションが入るわけでもないのに。
このテクニックはスゴイと思いました。
 
 
久々に当たり作品に出合ったので、
ちょっと絶賛しすぎたかな。
 
まあ、個人的には2022年、
好きな映画の10本には入ると思う。
まだ、2022年あと4カ月あるけど。。。

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