タバコって鼻から吸引できるんだぜ。
そこに、一番衝撃受けた映画の話。
バグダッド・カフェ
データ
公開:1989年3月(日本公開)
製作国:ドイツ
監督:パーシー・アドロン
あらすじ
アメリカ、モハーベ砂漠。
ドイツから夫と共に旅行に来たジャスミンは、
車中での夫婦ゲンカの末に、荷物を持って飛び出してしまう。
トランクを引きずってジャスミンが辿り着いたのは、
砂漠にあるモーテル兼カフェ「バグダッド・カフェ。」
そこには、日常に疲れきったモーテルの女主人や、日夜遊びに明け暮れる娘、
売れない画家、ピアノの弾けないピアニストなど、うだつのあがらない人々が集う場所だった。
ジャスミンの出現は、徐々に周りを癒していく…。
私が見たのは完全版のほうです。
冒頭、黒い粉を鼻から吸い込むシーンがあるのだけど、
タバコの葉を鼻から吸い込む、「嗅ぎタバコ」というのが昔あったらしい。
知らないもんだから、コーヒー豆、鼻から吸い込んだと思って、
なかなかパンチのきいた映画だなと思いました。
そんな、どうでもいい話はさておき。
87年の映画で、パッケージの裏を見ると、西ドイツって書かれているんですね。
当時の世界情勢を少しばかり感じられます。
ベルリンの壁で分かたれていたピリピリした空気感を考えると、
ちょっと、この映画も見方が変わるような。
女主人・ブレンダは、常にピリピリしてて、
自分の作業に集中すればいいのに、
わざわざ、夫に当たり散らす。
売り言葉に買い言葉で、映画の冒頭で夫は出ていきます。
この次は、娘や、従業員たちへ手当たり次第に口撃していく。
そんな彼女に、従業員は反発し、余計に空気が悪くなる。
イライラしてると、
イライラが伝播して、まったく何もかも思い通りにいかなくなる。
ブレンダが荒んでるところにやってくるのが、ジャスミン。
彼女も夫婦喧嘩の末、やってきたのであった。
出会ったときは、ブレンダの鋭すぎる目つきに、
取って食われるかも、みたいな危機感を覚えるジャスミンだけど、
彼女は、荒んだモーテルを見かねて片づけも自主的に取り組みはじめる。
いや、むしろ部屋の掃除をはじめたら、
あれもこれも気になって、とうとうモーテルを掃除始めた感じかな。
ただ常に、ニコニコ。
そんなジャスミンに周囲は次第にほだされていく。。。
ニコニコできると、幸せのほうから歩み寄ってくる。
人間関係の修復ストーリーで、頑張るのは女性なんです。
本作の中では、男性は全員、どうしようもない人たち。
これを、ドイツ分裂にあてはめると、
国の対立って、結局決めるのは男性なんだよね。
プライドだったり、なんやかんやでさ。
途中、ジャスミンが、絵のモデルをはじめるのだけど、
モデルを請け負うごとに、恰好がラフになっていくんですよね。
どんどん、心が自由で、そして解放されていく女性たち。
それの象徴かもしれない。
絵画の自由の女神っぽい恰好があったから、なおさら。
80年代に、「頑張る女性」の映画って、
時代先どりかなとも思うけど、そうでもない?
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