映画の感想“ナミビアの砂漠”

ジュディ・オングの名曲に『魅せられて』というのがある。
その中で、

女は海
好きな男の腕の中でも
違う男の夢を見る 

出典:魅せられて より

というフレーズがある。
それを映像で見せられた気がした。

ただし、この作品のカナは荒波ですが。

ナミビアの砂漠

9月6日公開『ナミビアの砂漠』本予告
出典:映画『ナミビアの砂漠』公式サイトより
公開:2024年9月(日本公開)
製作国:日本
監督:山中瑶子

世の中も、人生も全部つまらない。
やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている、21歳のカナ。
優しいけど退屈なホンダから自信家で刺激的なハヤシに乗り換えて、
新しい生活を始めてみたが、次第にカナは自分自身に追い詰められていく。
もがき、ぶつかり、彼女は自分の居場所を見つけることができるのだろうか・・・?

出典:映画『ナミビアの砂漠』公式サイトより

『魅せられて』は、結構、ナミビアの砂漠にあってると思うんだよね。
まあ、それはおいておいて。

見て思うのは、人間、誰しもまあまあクズだよな。
…いや、クズとも違うかもしれない。
時代的に個人志向が増えてきたというか。

登場人物の誰しもが、
自分の最大限を出せる場所を求めている。
協働する意識はひとまず脇においてね。

その中でも、やっぱり主人公だから、
カナは強調されて目に入る。

例えば、友だちの話に半分上の空で聞いているところ。
ここは、カフェのシーンで、
クラスメイトが自殺した話をしているのに、
その言葉は耳に入ってこず、
店内の男性客のゲスな会話が耳に入っている。
そんな描写になっている。

自分の興味あるものにしか集中力が続かない。
それは、自分にも身に覚えがないわけではない。

生活の中で「今、惰性で動いてる」と感じることもあるし。

「やってることと、頭の中身は違う」と
劇中で、カナが彼氏にそんな暴言はくけれど、
実は自分に向けて言ってる言葉だったのかも。

この体と思考が分裂する感じは、
自分の身に置き換えても、あるあるだと感じる人もいるんじゃなかろうか。

カナの彼氏たちは、彼氏たちで
自分の世界を作っている人たちだらけだし。

ひとつ思ったのは、個性が求められる時代に、
個人志向のなんと生きづらいことか!

そんな風に考えちゃうほど面白い、映画でした。

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