映画の感想 ❝ミツバチのささやき❞

映画

まるで、純文学を読んでるよう。
感じるものは、あるけれど、
言語化するのは激烈に難しい作品の話。

ミツバチのささやき

ミツバチのささやき Blu-ray

データ
公開:1985年2月(日本公開)
製作国:スペイン
監督:ビクトル・エリセ

あらすじ

内戦も落ち着いた1940年ごろのスペイン。
養蜂家の少女、アナの住む小さな村に『フランケンシュタイン』の巡回上映がやってくる。
映画の怪物は精霊で、村外れの一軒家に隠れていると聞いたアナは、
ある日、確かめるためにその家を訪れる。
そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出会い……。

ひとりの少女が体験する現実と空想の交錯した世界を
繊細なタッチで描いた傑作。

見る人によって、多種多様な考察が広がるであろう映画。
個人的な印象を語ると、、、
 
4人家族一緒のショットが1つもなくて、
食卓ですら、1sづつ見せる。奇妙な見せ方。
そこに、強い断絶のメッセージを感じた。
 
こういう言葉にならない言葉を、幽玄というのかも。
 
主人公アナの住む家は、
ミツバチの巣のようなハニカム模様の窓がある。
模様のもとになってるハニカム構造は、部屋が個別の壁で仕切られている巣、と考えると、
なにか人の間にある見えない壁のようなものが終始つきまとってくる。

 
この映画は『フランケンシュタイン』の引用が多い。
フランケンという造られた命は、少女と交流し、心を得ていく。
しかし、その両者とも命を落とす。
 
それになぞらえて、逃れてきた負傷兵と、
主人公アナの交流。
そして、、、
理解し合えるような光明も、
簡単に握りつぶされてしまう、やるせなさというか。
 
 
語るのが難しいのにも、関わらず
最後まで飽きずに見られるのは、なぜなんろう。。。
なんとも不思議な魅力にあふれてます。
 
 
実際の、制作者側の意図は次の通り。
元々1973年に公開された映画で、
当時、独裁政権下だったスペインでは、
政府批判もできない情勢だった。
そのカウンターとして、政府批判と悟られないように、
隠喩で散りばめた映画。
 
日本公開時期と、元々の製作時期にも、かなり開きがあるので、
はじめにこの作品が日本で公開された時、
気づいた日本人はいるのだろうか。。。
 
 
まあ、これは単なる「事実」にすぎないので、
「真実」は、観た人の分だけ生まれる。
そういう作品は、私けっこう好きなんですね。
いろんな解釈を知れるから。

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