“映画の感想” 『LAMB/ラム』

映画

タイトルから、
どうしても焼肉を連想しちゃう映画の話。

LAMB/ラム

映画『LAMB/ラム』オフィシャルサイト (klockworx-v.com)

データ

公開:2022年
製作国:アイスランド、スウェーデン、ポーランド
監督:バルディミール・ヨハンソン

あらすじ

山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。
 
ある日、二人が羊の出産に立ち会うと、
羊ではない何かが産まれてくる。
 
子供を亡くしていた二人は、
“アダ”と名付けその存在を育てることにする。
 
奇跡がもたらした”アダ”との家族生活は
大きな幸せをもたらすのだが、
やがて彼らを破滅へと導いていく—。

出典:映画『LAMB/ラム』オフィシャルサイトより引用

これは、なかなか難易度の高い映画だぞ。
「エル・トポ」味を感じる。
 
というのも、
キリスト教をモチーフにしたと思われる要素が
出てくるので、
ぶっちゃけキリスト教に馴染みがないから、
なんの比喩か、理解するのに時間がかかる。
 
例えば羊。
聖書では人々のことをよく羊に例える。
「迷える羊」といえば、キリスト教信者のことを指し、
「神の小羊」といえば、イエス・キリストのことを指す。
 
かといって、羊を神聖視しているわけでなく、
あくまで、素朴なものとして捉えている。
 
 
そして、もうひとつ。
人の体に羊の頭をした「アダ」の存在。
 
これに近いモノがキリスト教に出てくる。
それをバフォメットという。
バフォメットは異教を偶像化した存在。
ただ、こちらはヤギの頭ですが。
 
ほかにも、動物の頭をした異端の存在が
しばしば登場する。
 
 
というわけで、
これらのことから、
自分なりに、この映画を考えると。
 
我々は、奪い奪われる社会に生きている。
そして奪われる側は異端者であり、
異端かどうかは立場で変わる・・・。
てなことではないかなぁと。
 
これが分かりやすいのは、
母親の描写よね。
まあ、詳しくは書けないけれど。
育ての母と産みの母の存在とでも
書いておきましょう。
 
 
たぶん、この映画を人にすすめるときに
一番困るのが、既存の映画ジャンルのどれにあたるのか、
答えられないところかな。
ある意味、枠にハマってない。
 
だから公式サイトの「スリラー」って、
なかなか上手い文句だなと。
確かに「スリラー」だし。
 
 
解釈が難しい映画なんですけど。
シンプルにアイスランドの空気を
感じられる映画としても楽しめる。
 
そのひとつが、
アイスランドの夜って、けっこう明るいこと。
 
主人公たちが、外明るいのに、
ベッドで眠るシーンがあって、昼寝かな?と
勘違いするほど。
 
夏には白夜が起こる国でもあるから、
季節によっては、日が沈むのが遅いんだろうな。とか。
あとから、気づいた。
 
そして、天気。
曇りの日がめちゃくちゃ多い。
劇中の半分くらいは曇り空だ。
気候的に、日本でいう冬と春で
1年が成り立っているらしく、
どんよりとした空気感がある。
 
意外にもこれが、
暗い雰囲気を全編に漂わせてる。
 
 
あと、忘れてはならないのが羊たち。
あの・・・、すげーカワイイんですけど。
いっせいにカメラ目線になるところとか、
妙に心がザワザワしましたね。
 
後半、彼らがあまり登場しなくなったのは、
「羊」は「人」の比喩だと考えると、
人を逸脱したってことの表れだろうか。。。
 
 
そんな、アイスランドの空気を感じつつ、
日本ではお目にかかれない大自然の風景は
とにかく、画に力があり、
ちょっと、アイスランドに
行ってみたくなる。
 
 
 
というわけで、
「LAMB/ラム」でした。

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