映画の感想 “オッペンハイマー”

ものすごい映画を見た!
特に音響演出は、絶対に自宅では再現できない。
劇場で体験するべき映画。

オッペンハイマー

【本予告】『オッペンハイマー』3月29日(金)、全国ロードショー
出典:映画『オッペンハイマー』公式 より
公開:2024年3月(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:クリストファー・ノーラン

第二次世界大戦下、
アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。
これに参加した J・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて
世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。
しかし原爆が実戦で投下されると、
その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。
冷戦、赤狩り―激動の時代の波に、
オッペンハイマーはのまれてゆくのだった―。
世界の運命を握ったオッペンハイマーの栄光と没落、その生涯とは。
今を生きる私たちに、物語は問いかける。

出典:映画『オッペンハイマー』公式 より

大きく分けて2つの視点で描かれる原爆の父。
 
1つは、オッペンハイマー自身の視点。
このパートはカラーで描かれ、
いわゆる“光”の側面が描かれる。
 
もう1つは、第三者から見たオッペンハイマー。
このパートはモノクロで“影”の部分。
他人から見たオッペンハイマーは、どんな風に見えていたのか。
それが、描かれる。
 
異なる2つの軸で展開するのは、めちゃくちゃノーラン節。
 
 
2つの視点がさらに、それぞれで時間軸も前後する。
目まぐるしく変わっていって、ぐっちゃぐっちゃになって、前後不覚になったころ。
最後、1つに。
我々のいる現代に物語が収束していく。
 
これが、見事としかいえない。
 
 
 
始めは、原爆を作ることの大儀について描かれるのかと思っていた。
まったく、そんなことはなく。
 
大儀だと信じるしかなかったこと。
これまでの科学を壊してしまったこと。
・・・オッペンハイマーは、
兵器として扱われた原子爆弾に対して、ひどく後悔をしていたらしい。
古代インドの聖典を引用して、
「我は死神なり、世界の破壊者なり」という発言を残したとか。
 
そういう苦悩が描かれる。
正直、これは日本では描けない視点。
 
 
戦後、トルーマン大統領に「私は自分の手が血塗られているように感じます」と
語ったことからも、核兵器に反発していたオッペンハイマー。
 
しかし、その努力は今も実っておらず、
核兵器を保有する国は、当時よりも増えている。
いずれ、核戦争になってしまったとき、
世界はどうなってしまうのか。
 
最後のシーンが感慨深い。
 
 

本作は、音響演出にすごい力を入れていて。 
バチバチというラップ音や、群衆の靴の音が、
原子の弾ける音にも聞こえるし、
オッペンハイマーを非難する声にも聞こえるし。
 
それらが、オッペンハイマーの感情にもリンクしている。
 
もう1回観に行こうかな。

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