ものすごい映画を見た!
特に音響演出は、絶対に自宅では再現できない。
劇場で体験するべき映画。
オッペンハイマー
出典:映画『オッペンハイマー』公式 より
データ
公開:2024年3月(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:クリストファー・ノーラン
あらすじ
第二次世界大戦下、
出典:映画『オッペンハイマー』公式 より
アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。
これに参加した J・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて
世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。
しかし原爆が実戦で投下されると、
その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。
冷戦、赤狩り―激動の時代の波に、
オッペンハイマーはのまれてゆくのだった―。
世界の運命を握ったオッペンハイマーの栄光と没落、その生涯とは。
今を生きる私たちに、物語は問いかける。
大きく分けて2つの視点で描かれる原爆の父。
1つは、オッペンハイマー自身の視点。
このパートはカラーで描かれ、
いわゆる“光”の側面が描かれる。
もう1つは、第三者から見たオッペンハイマー。
このパートはモノクロで“影”の部分。
他人から見たオッペンハイマーは、どんな風に見えていたのか。
それが、描かれる。
異なる2つの軸で展開するのは、めちゃくちゃノーラン節。
2つの視点がさらに、それぞれで時間軸も前後する。
目まぐるしく変わっていって、ぐっちゃぐっちゃになって、前後不覚になったころ。
最後、1つに。
我々のいる現代に物語が収束していく。
これが、見事としかいえない。
始めは、原爆を作ることの大儀について描かれるのかと思っていた。
まったく、そんなことはなく。
大儀だと信じるしかなかったこと。
これまでの科学を壊してしまったこと。
・・・オッペンハイマーは、
兵器として扱われた原子爆弾に対して、ひどく後悔をしていたらしい。
古代インドの聖典を引用して、
「我は死神なり、世界の破壊者なり」という発言を残したとか。
そういう苦悩が描かれる。
正直、これは日本では描けない視点。
戦後、トルーマン大統領に「私は自分の手が血塗られているように感じます」と
語ったことからも、核兵器に反発していたオッペンハイマー。
しかし、その努力は今も実っておらず、
核兵器を保有する国は、当時よりも増えている。
いずれ、核戦争になってしまったとき、
世界はどうなってしまうのか。
最後のシーンが感慨深い。
本作は、音響演出にすごい力を入れていて。
バチバチというラップ音や、群衆の靴の音が、
原子の弾ける音にも聞こえるし、
オッペンハイマーを非難する声にも聞こえるし。
それらが、オッペンハイマーの感情にもリンクしている。
もう1回観に行こうかな。
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