これまで見た、どの映画よりも、
銃の音が強調されて聞こえ、
戦闘のただなかに放り込まれたようで、本当に怖い。
シビル・ウォー アメリカ最後の日
出典:映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』公式サイトより
データ
公開:2024年10月(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:アレックス・ガーランド
あらすじ
連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。
出典:映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』公式サイトより
テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、
各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。
「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。
就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、
ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。
ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、
14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、
ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー
すでに、内戦となり、しばらく経ったあとから物語はスタート。
「しばらく経った」というのがミソで、
劇中に○○が悪いという類のセリフは、ほぼ出てこない。
主張する正義は曖昧になった社会で争う理由はひとつ。
真の“アメリカ人”をハッキリさせる。
国というのは、「ふるさと」と言い換えれば、
けっこう大きなアイデンティティなんだと思う。
これを失うのは、大変なこと。
いま、世界各地で巻き起こる戦争。
ニュースで見た光景が、そのまま自国で起こる恐怖とは…。
日本だったら、どうなるんだろうとは考えずにいられない。
冒頭から引き込まれた!
テレビ越しの大統領にカメラレンズを向ける主人公、、
窓ガラスに反射するニュース映像と外に広がる夜の街並み。
川を挟んで対岸は高層ビル、手間には爆炎と煙。
とにかく、相容れないぐらい高い隔たりのあるはずの2つのコトが同時に映されて、
「本当に起きている出来事なのか、実は夢なんじゃないか。」
劇中人物の「現実を受け入れられない」思いを強く感じる。
中でもテレビ画面の大統領にカメラのレンズを向ける主人公は、
後の展開で分かるけれど、
旅の目的をロックオンした瞬間なんだね。
紛争地域のニュースで見る光景が、
そのまま先進国の都会に起きている画面作りは異様。
ボロボロになるニューヨークは、
『クワイエット・プレイス DAY 1』でもあったけれど、
悲壮感がまるで違いますね。
シリアスな物語ではあるけれど、描き方はロードムービー。
カントリー調の音楽と、荒野を走る車。
ベテランの記者とご意見番と新人。
困難に直面しながらも徐々に親睦を深めあう人物たち。
しかし、いきつく先に待つものは
さわやかな青春の1ページではない。
戦争とロードムービーという温度差の極端なもの、
この極端な対比で描く手法って、ホラーの作りだよな。
パリピから先にやられていくし。
最後に、個人的に印象に残った場面を。
序盤で、戦争の生々しさにふれて、足がすくむ若手記者。
それが、異常事態に徐々に慣れていき、
あまつさえ、スクープに興奮している自分に気づく、最後の場面。
現実に起きたことさえ、ファインダー越しだと、
切り取られた別世界に映る場面。
そこが強烈に印象に残った。
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