映画の感想 “ノーヴィス”

高校女子ボート競技の世界で描かれる、苛烈なレギュラー争い。
今まで、努力は美しいものとして見てきたが、
この映画を見ても、まだ努力は美しいと思えるか。

そんな問答をしたくなったお話。

ノーヴィス

11月1日公開『ノーヴィス』日本版予告
出典:『THE NOVICE ノーヴィス』公式サイトより
公開:2024年11月(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:ローレン・ハダウェイ

「困難だからこそ挑戦するのだ」J.F.ケネディの言葉を胸に、
アレックスは大学女子ボート部の門を叩く。
猛烈に練習に励み、スポーツ万能な同期のジェイミーにライバル心を燃やすアレックス。
上級生のケガでレギュラーの座がひとつ空いた時、
その座を巡って熾烈な争いが繰り広げられる。
レギュラー入りで得られる奨学金がどうしても必要なジェイミーは画策に走り、その座を奪取。
出し抜かれたアレックスは雪辱を果たそうとするが、その強すぎる執着心は次第に狂気を帯びていく…。

出典:『THE NOVICE ノーヴィス』公式サイトより

主人公の凄絶な数字への執念!

誰よりも早いタイムを目指し。
誰よりも高い点数を目指す。

そのために自分に課すノルマノルマノルマ。。。

追い込む以外に生き方を知らない主人公を見てると、
努力は賞賛するべきものなのか悩んでしまう。

むしろ執着しすぎて怖い。

この、数字にとらわれるっていうのは、かなり怖くて。
現代の社会人でも、売り上げノルマ、契約ノルマ、
とかく、数字にとらわれる人は多い。

数字はとても分かりやすい指標だから。

仕事じゃなくて、ゲームとか、なんなら貯金でもいい。
数字はわかりやすいからこそ、執着が生まれやすいのかも。

しかし、本当はもっと根本的なものがあるはずなのだ。
誰かに喜んでほしい。という純粋な思いが。

それを見失ったとき、努力は執着へと変わり、
美しいものから、醜いものになっていく。

劇中では、とかく暗い画面作りが印象的。

地下にある練習場。
雨の降りしきる川。
通路の奥にある闇。

なんというか、明かり=出口の見えない世界。
にもかかわらず、美しい構図なんです。
見たら分かります。かっこいい。

暗い画が続くからこそ、最後の「燃え尽きた」感は、
妙にすっきりするんです。
ここは、見せ方も面白い。あえて最後に主人公の記録を見せない。
セリフはないけれど「結局、この程度か」って言ってるように見えた。
自分自身に対してね。

あと、冒頭のつかみがすごくうまくて。
うだうだ状況説明などせずに、観客をいきなりボート部の世界に放り込むことで、
「今、どういう状況か」を観客自身で探しながら見るように仕向けられている。
そうしてると、いつのまにか作品にのめり込んでいるという。
これって、主人公と境遇似ているよね。

主人公と見る側の立場が同じになっているから、グイグイ引き込まれた映画でした。

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