映画の感想 “ファニーゲーム”

理不尽という言葉が、
これほど相応しい映画もそうそうないと思う。

そういうお話。

ファニーゲーム

ファニーゲーム
公開:2001年10月(日本公開)
製作国:オーストリア
監督:ミヒャエル・ハネケ
夏のバカンスを過ごしに湖のほとりの別荘へ訪れた、ショーバー家。
主のゲオルグ、妻のアナ、そして息子のショルシと愛犬のロルフィー。

別荘で夕食の支度をするアナの元に、
ペーターと名乗る青年が卵を分けてほしいと訪ねてくる。

たわいもない会話の後、突然ペーターは卵を割ったり、
携帯電話を水没させたり、アナを挑発する行為に出る。
苛々をつのらせる、アナのもとへ
パウルという、もうひとりの青年が現れ、さらにアナを挑発。

険悪な雰囲気の中、ゲオルグが仲裁に入るが
パウルは突然、ゴルフクラブでゲオルグの膝を打ち砕いた。
この時から、一家は青年ふたりの操る《ファニーゲーム》の不運な参加者となったのだった…。

暴力は暴力でしかない。

漫画、アニメ、ゲーム、映画。
エンタメには過激なシーンはつきもの。

派手なアクションであるほど、
ショッキングであればあるほど、
面白い=ファニーである。

でも、ちょっと待ってほしい。
それって、ただの暴力では?
 
そんな、暴力をちゃんと暴力として描いて、
「ね?面白いでしょ」と語りかけてくる映画。
 
 
みんなの好きなものって、実は残酷なんだ。
って言われてる気がした。
 
そう感じるのは、
要所で、パウルが第四の壁をこえて、
観客に語り掛けてくるから。
「落ち着け、盛り上がりはこれからだ」ってな具合で。
 
 
普通の映画って、見終わったときに、
「あぁ、俺じゃなくて良かった」って、
そう思う瞬間ってあると思う。
ホラー系であれば、特に。
 
けど、ファニーゲームは、そんなこと許さなくて。
半ば、強制的に共犯者にさせられる。
観客が、過激なものを求めてるから、
こんなことしてるんだって。

そんな、陰惨な恐怖が余韻をひく。
 
 
劇中のセリフなんだけど、
「明日の朝9時までにあなたたちを殺せるか否かゲームをしよう」。
こんなこと、突然隣人に言われたら、そんな理不尽な!って思う。

これが、上手いのは「生き残れたら」って、
ショーバー家がわの立場に立ったセリフじゃなくて、
「殺せるか」っていう、
ペーターとパウルたち侵略者がわの立場にたったセリフなんだよね。
こういう、細かいところから、
知らずのうちに、共犯者に引きずり込まれてる。

いろんなところに、伏線があるので、
振り返ってみると、
最初の方のアノ家族とか、
実は手遅れだったんだって・・・、発見もあります。
2回も見る気力そうそう起きないけど。。。
 
 
 
理不尽なのは、虚構だけにとどめておいて、
現実には持ち込まない。

それが一番。

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