映画の感想 “人間の境界”

当事者への取材をもとにした、
ドキュメンタリーのような緊迫感を持つ映画の話。

人間の境界

5.3(金・祝)公開『人間の境界』政府が隠したがった<国境の真実>を映像化|予告編
出典:映画『人間の境界』公式より
公開:2024年5月(日本公開)
製作国:ポーランド・フランス・チェコ・ベルギー
監督:アグニエシュカ・ホランド

「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、
安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出した、
幼い子どもを連れたシリア人家族。
しかし、亡命を求め国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、
武装した国境警備隊だった…。

出典:映画『人間の境界』公式より

冒頭のマスクだらけの異様なショットを見て、
「そういえばコロナもあったな。」そう思う。
同時に、そんなに昔の話じゃない、最近の話である事が分かる、
 
「ハイブリッド攻撃」を調べてから見ると、
この映画の解像度もあがるはず。
 
難民を受け入れることには、
経済面や安全保障面から、さまざまな懸念がある。
おそらく、文化や慣習の違いによる衝突は発生するし、
それによる混乱は起きる。
この映画でも食事の文化で戸惑うシーンが描写されていたし。
 
そんな、難民が大勢、一度にやってきたら、どうなるか・・・?
 
 
ポーランド、ベラルーシ、
双方とも、非合法に難民を押し付けあう。
 
このプッシュバックが、いかに異常かというと、
30往復もさせられるグループもいるらしく、
次第に、食糧も底をついてくるそうだ。
そして、何万人もの人々が亡くなっている。
 
 
『人間の境界』の原題は『GREEN BORDER』
しかし、鮮やかな緑が望めるのは最初だけで、
あとは木立の葉に光を遮られているかごとく、ずっとモノクロ。
社会の闇を暗示しているのだろうか。
 
 
この映画の邦題は気が利いてると思ってて。
何を良しとするのか。
境界に悩む人たちの物語だったんじゃないかと。

国を出ることが良かったのか悩む家族。
難民を押し返すことがいいのか悩む国境警備隊。
法を犯してまで難民を救うべきか悩む活動家。

とにかく、自分は正しいと思いこまなければ、
耐えられない環境下で、苦しむ人たち。

 
終盤で国境警備隊のヤンが、鏡で自分を見つめるシーンがね、
自分は人間なのか?自問自答してるように見えた。
 
ちょっと、自分の境界がアップデートされる映画でした。

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