映画の感想 “革命する大地”

37本の映画とインタビューでひもとく、
「ペルー革命」の映画の話。

革命する大地

『革命する大地』予告編
出典:『革命する大地』オフィシャルサイトより
公開:2024年4月(日本公開)
製作国:ペルー
監督:ゴンサロ・ベナべンテ・セコ

1969年にベラスコ大統領率いる
いわゆる軍部革命政権によって公布された農地改革法は、
それまでのペルーの土地と市民権をめぐる闘争に大きな変革をもたらした。

ベラスコ大統領は先住民を半奴隷状態から解放した英雄と見る人と、
彼が解体した地主寡頭制に不満を持ち独裁者と見る人とで、ペルー国内を二分する存在である。

知識人たちは「農地改革は全員が市民になれる手段だった」と証言する一方で、
農地改革後にペルーを待っていたのは暴力の時代だったのも確かだ。
そして、「民主的であるなら多様性への寛容さが必要だ」と警鐘をならす。
現代ペルーの知識人や政治家、文化人へのインタビューによって“ペルー革命”が再構築されていく。
ペルー革命から約50年、今も政治的混迷が続くペルー。この先、ペルーはどこへ向かうのか?

出典:『革命する大地』オフィシャルサイトより

ペルー映画は初視聴です。

本編にて、
「映画は歴史を描く。それによって、アメリカは強固になった。」
というようなことが語られる。

その言葉を体現するように、
ペルーの映画を引用し、べラスコ元大統領が推し進めた革命の光と影を語る。
 
ここで焦点になる革命とは、主に農地改革のことを指している。
「地主に搾取されて貧困に苦しむ小作人を開放する。」目的だった。
当時、小作人たちは、貧困どころか、
地主からの暴力、強姦にあっても異議申し立てができなかった。

地主からの解放。ここだけとると素晴らしいことのように思える。

 

べラスコの革命は成功した。

地主制度廃止のみならず、
利益の多くをにぎっていた多国籍企業の廃止。
数々の支配体制を削減していった結果、
先住民の誇りを取り戻すに至った。

ペルーの言葉に「チョロ」というものがある。
田舎者とか、貧乏人とか、そういうあざけりの意味が強い言葉。
低賃金で働く、農業者たちを指していただろうか。

この「チョロ」を誇らしげに歌にする映画が引用され、
時代は大きく変わったのだとはっきりわかる。
べラスコ登場までに引用してきた映画が暗いシーンばかりなのもあって、
すごく印象に残った部分。

革命は成功した。
ただし、文化的には。

経済的には大失敗だった。

農地改革後に上がると思われた生産性は期待以下でしかなかった。
今、農民は経済の奴隷と化している。
革命は、まだ終わっていない。。。
 

ペルー革命に明るくなかったので、
この映画は一つの教養になった気がする。

映画で歴史を描くと国として強固になるというのは、
意外と的を射た言葉かもしれない。
問題を知るというのは、解決策を考えられるから。

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