映画の感想 “ANORA アノーラ”

他の映画だったら、
真っ先に物語から退場するであろうキャラクターをメインに据えた、
刺激的な作品。

ANORA アノーラ

アカデミー賞6部門ノミネート!『ANORA アノーラ』2.28公開【本予告】
公開:2025年2月(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:ショーン・ベイカー

NYでストリップダンサーをしながら暮らす“アニー”ことアノーラは、
職場のクラブでロシア人の御曹司、イヴァンと出会う。
彼がロシアに帰るまでの7日間、1万5千ドルで“契約彼女”になったアニー。
パーティーにショッピング、贅沢三昧の日々を過ごした二人は
休暇の締めくくりにラスベガスの教会で衝動的に結婚!
幸せ絶頂の二人だったが、息子が娼婦と結婚したと噂を聞いたロシアの両親は猛反対。
結婚を阻止すべく、屈強な男たちを息子の邸宅へと送り込む。
ほどなくして、イヴァンの両親がロシアから到着。
空から舞い降りてきた厳しい現実を前に、アニーの物語の第二章が幕を開ける――。

出典:映画『ANORA アノーラ』公式サイトより

怪獣映画好きからすると、
こういうパリピは、真っ先に舞台上から消えていくんです。
第一犠牲者として。

それでなくても、
ホラー映画やモンスターパニック映画でも疎まれる存在として描かれる。

世の中から排他的に扱われがちな若者たち。

でも、彼らには彼らの、そうならざるを得ない。
いや、そう演じざるをえないというのかな。しがらみが、あるんだと感じた。

本作のある登場人物は、しきりに「暴力はダメだ。」という。
暴力とは何か。
単純な殴る、蹴る。または罵る。ことだと思っていたけれど、
実はそんな分かりやすいものではないのかも。

「こうあるべき」という偏見に閉じ込めておくこと。
それも、ひとつの暴力なのかもなと。

「人を襲いそうな目をしてる」のような見た目への偏見。
「エスコートガール」のような職業への偏見。
「事業を継ぐもの」としての立場としての偏見。
あと、年齢のこともあったか。
アイツが30歳とは思わなかったし…。とかとか。

「こうあるべき」に浸りすぎた人は、
「私ってこういう人間だから」と役割に徹するようになっていく。
特に、若者の世界って誰かにハブられたら人生詰んじゃうから。
それが次第に自分で自分を追い詰める結果になっていく。

ついでに語っておくと、
そういう「偏見に縛られてかわいそう」という、
同情・罪滅ぼし的な考えも、ある種、暴力だったんじゃないか。
そんなことを思ったのでした。

アッパーなコメディで畳みかけていく中にも、
現代の偏見、その中で生きていく若者たち。
それが垣間見えてハッとします。

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