“映画感想” アス

映画

世の中には絶対に関わってはいけない人が3人いる。
人の成果を横取りする人。
お酒におぼれる人。
そして、自分とまったく同じ人。

アス

アス【Blu-ray】 [ ルピタ・ニョンゴ ]

データ

公開:2019年
製作国:アメリカ
監督:ジョーダン・ピール

あらすじ

カリフォルニア州サンタクルーズ。
アデレードは夏休みを利用して、
夫と子どもの家族四人で、この地を訪れた。
 
アデレードにとって、
サンタクルーズは幼少期を過ごし、
とあるトラウマを抱いた地でもある。
 
家族でビーチに出かけると、
度重なる不気味な偶然に見舞われるアデレード。
それはかつてのトラウマを思い起こさせ、
家族の身に何か起こるという、不安を強めていく。
そんな彼女の前に自分たち一家とそっくりな
“わたしたち”が現れ……。

 
人の光と影。
富める者がいるとき、貧しきものがいる。
 
それをスリラーに落とし込むという、
あんまり見たことない映画でした。
 
いわゆる“ドッペルゲンガー”を扱った話で、
古典的なモンスターの恐ろしさを再定義してます。
ジョーダン・ピール監督のすごいところって、
そこだと思う。
掘り切ったジャンルにも、
まだ掘るところあるよって気づきをくれる。
 

そういえば、ドッペルゲンガーって
見た人は死ぬという逸話があるの忘れてた。
しかもこれ、どちらが死んでも、
もういっぽうの自分は死ぬことを意味するので、
どちらにせよ「見た人は死ぬ」という。
 
古典的な話もあってか、
オチはある程度予想できるんです。
けど、
もしかしたら違うかもしれない。
予想してる結末じゃないかもしれない。って
思わせられる。
だから、頭をフル回転して観させられた。
 
 
で、そこにひとつ、メッセージも乗っかってくる。
映画の冒頭に
“ハンズ・アクロス・アメリカ”のCMが流れるシーンがある。
これは、1986年に実施された慈善イベントのことで、
カリフォルニアから反対側のニューヨークまで
約6,600キロを600万人以上の人々が15分間、手をつないだという。
 
貧しい人を救うためのチャリティー。
結果はあまり芳しくなかったようです。
 
これを踏まえてみると。
 
ドッペルゲンガーたちは、
地下からやってくるわけですが、
アメリカのホームレスは地下鉄などの、
地下で暮らしているという現実と重ねて見られる。
 
自分とまったく同じ姿ということは、
ありえたかもしれない未来でもあるし、
人の表裏一体な、心のあらわれともとることができる。
 
終盤の下りしかないエスカレーターとかさ、
どうあがいても、光のあるところへ行けない人たちを
表してるような気もするし。
下りのエスカレーターを上るって、
それなりに大変ですから。
 
 
2回見ると、気づきもあって面白い。
そもそも、言葉を話せないドッペルゲンガーの中で、
話せるやつがいるとか、
 
初めての場所でも、
すいすい進めるところとか、違和感はあったんだよね。
 

夫や子供たちのため奮闘する、
アデレードの姿に最初は応援してるんだけど、
後半から、徐々に狂気じみたものを感じ始めて。。。
 
 
なかなか味わい深い終わりかたをするので、
観ると、心に残る映画だと思います。

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