自分は本当に正常だと
胸を張って言えるのか?
そんな映画の話。
スモールワールド
データ
公開:2023年(日本公開)
製作国:ポーランド
監督:パトリック・ベガ
あらすじ
ポーランドで4歳の幼女ウーラが誘拐された。
出典:未体験ゾーンの映画たち2023/テアトルシネマグループ より引用
母親は誘拐犯のトラックを見つけ車で追いかけるが、
スピード違反で警察官ロベルトの尋問にあい、
ロシア国境の検問所でトラックに逃げられてしまった。
母親に責め立てられ、自責の念に駆られたロベルトは、国際捜査に乗り出す。
3年後、ロシアでウーラにつながる痕跡が発見され、
ロベルトは現地へ向かうが、一歩遅くウーラたちは別の組織に売買されていた。
5年後、ウーラは英国で小児性愛者が集う秘密屋敷にいた。
情報を入手したロベルトは屋敷に潜入するが、身元がばれて救出に失敗。
その後、アジアに売られてしまったウーラを探し求め、ロベルトはタイへと向かう。
しかし、長年の追跡捜査で彼自身がある症状に蝕まれてしまっていた…。
幼女誘拐事件を追ううちに、
自身の小児性愛に気づいてしまう刑事ロベルト。
その何とも言えない悲哀を描いた本作。
事の発端は、ポーランドで発生した誘拐事件。
間接的に犯人をほう助する形となってしまったロベルトは、
その自責の念から、
誘拐事件担当となり、捜査を継続する。
ロシア、イギリス、タイ・・・。
1人の少女を追って国をまたぐロベルト。
なぜ、そんなことになるかというと、
やばくなったら、他所に売り飛ばすという、
人身売買のおぞましさがある。
こんなの、現実だと特定個人をつきとめるのは
ほぼ不可能じゃないか?
劇中で、
毎年150万人の子どもが売られており、
最も急成長している犯罪ビジネス。
と語られるのだが、なかなか闇深い。
こういうのは日本にいると
分かりにくい現実だよなぁ。
正気なやつが誰一人出てこないので、
“まとも”って何だっけ?となる。
例えば、警察。
誘拐事件がはびこる理由は
警察の秩序の無さもたぶんにある。
ロシア警察は賄賂さえ受け取れば何でも許したり、
弱者を問答無用で切り捨てるし。
イギリス警察も、犯罪組織と繋がってたり。。。
で、子どもを買う人たちは、
それはそれで、ネジの外れた人たち。
ただ、なんか見てると、
愛に飢えた人。愛されたいと思ってる人のような気もする。
何か変なんだけど、
「子どもに母性を求める」という、
そんな人たちばかり出てくる。
禅問答か何かみたいだ・・・。
はたから見れば、誰もかも
実は、おかしいのかもな。
主人公ロベルトも12年にもわたる捜査の末、
あまりにも事件に触れすぎたために、
自身に眠る小児性愛に気づいていくという。。。
ここ、ロベルトが自覚してからのプールのシーンが、
激烈に気持ち悪くてホラーだった。
それがあるから、
ロベルトは果たして本当に娘を救えるのかが、
めちゃくちゃハラハラした。
だって自分も何しでかすか分からない
爆弾を抱えてますし。
そんな彼が最後に行き着いた境地とは・・・。
全体的にドライな見せ方してて
事件の全貌を俯瞰してみることのできる作品でした。
ロベルトの内面も描いてないわけではないけれど、
わりと少な目なほう。
つまり、感情移入しすぎずに見られる。
まあ、犯罪者の気持ちに共感するのはある意味ヤバいですからね。
この辺りは映画として、
良くも悪くもな部分だと思いますけど。
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