“映画感想”『ディーパンの闘い』

映画

元兵士が、社会の理不尽に反逆する映画。
「ランボー」じゃないよ!の話。

ディーパンの闘い

ディーパンの闘い [ アントニーターサン・ジェスターサン ]

データ

公開:2016年(日本公開)
製作国:フランス
監督:ジャック・オーディアール

あらすじ

内戦下のスリランカで兵士だったディーパンは、
フランスへ入国するため、赤の他人である女性ヤリニと少女イラヤルとで
家族を偽装することに。
難民としてフランスに渡った3人は、
パリ郊外の集合団地で共に暮らしはじめる。
ディーパンは団地の管理人という職を得て、
普通の暮らしがはじまるはずだった・・・。
しかし、彼は団地に住む麻薬の売人たちと、対立してしまう―。

 
「俺の中で戦争は終わってる」と言いつつ、
ブチ切れ戦争マンになっちゃうディーパン。
そこに、まったく闘いを捨てきれない悲哀がある。
 
平和だから暴力がなくなるのか
暴力で平和がもたらされるのか

 
なかなか二元論にもしづらい。
 
個人的には前半の家族ごっこが面白かった。
亡命するための身分偽装として
まったく血のつながらない3人が家族のフリをする。
 
子育て経験がないヤリニが、
ほんと年頃の女性って感じで、イラヤルを敬遠するところ。
身勝手だなと思いつつ、けっこうリアル。
 
母の愛がほしいイラヤルは、
友だちも上手く作れなくて、すれていく。
あのイジメノートはけっこう心にきたね~。
 
そして、ディーパン。
ジョークも通じない超マジメ。
ヤリニに恋していき、空回りしていく感じとか、
見てて笑った。
 
チグハグで、三者三様の悩みを抱き、
その中で、「移民」に対する風当たりの強さ。
そういうのが感じ取れた前半は、けっこう好きなパート。
フランス語を徐々に理解していくところとかね。
けっこう馴染んできたな。としみじみ。
このまま、3人が家族として成長していく感じで見たかったな~。
 
というのも、終盤は何というか、
無理やり終わらせた感がある。
 
東映特撮でおなじみの、
バーンでドッカーンでめでたしめでたし・・・。
あ、そうだ!
何か既視感あると思ったら、東映特撮だ。
 
いや、匂わせていたとはいえ。
なんか、あんまりしっくりこない。
これ、感覚的なものなので、なんとも言えないんだけれど。
たぶん主人公がスリランカ人なのに、
描く主軸がフランスの実情すぎるのかな。
後半イラヤルの存在感ないし。
 
「結局、平和は暴力で勝ち取る」という
ブラックジョークを利かせてたら、
主人公・ディーパンのジョークセンス0と相まって、
もっと好きになったかもしれない、そんな作品。
 

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