“映画感想”『ヒトラーの死体を奪え!』

歴史の“たられば”を描く、
ミステリー映画の話。

ヒトラーの死体を奪え!

ヒトラーの死体を奪え!

データ

公開:2023年(日本公開)
製作国:イギリス
監督:ベン・パーカー

あらすじ

第2次大戦末期の1945年、陥落後のベルリン。
ソ連軍情報士官のブラナ・ブロスカヤ中尉たちは、スターリン直々の極秘指令で、
棺のような木箱をモスクワまで運ぶ任務を命じられる。
木箱の中身は、ヒトラーの死体……焼却されたはずの亡骸だった。
トラックで出発したブラナたちは、ポーランドの森林地帯を抜けて東を目指す。
だが、降伏を拒否して戦闘を続けるドイツ軍パルチザン《ヴェアヴォルフ》の襲撃を受け、
ヒトラーの死体は敵に奪われてしまう。
ブラナは死体を奪い返すため、生き残った仲間たちと共に反撃に出るが……。

出典:未体験ゾーンの映画たち2023/テアトルシネマグループ より引用

945年4月30日、
アドルフ・ヒトラーはベルリンの地下壕で自殺。
その死体はガソリンで焼却された。とされているが、
証言が曖昧で、実は生きていたのでは?
みたいな説も飛び交う、歴史のスキマがある。
 
日本で言うと、
「織田信長は本能寺で死んでいない!?」
とかになるのだろうか。
 
歴史の面白いところは、
そのスキマをあれやこれやと、
推測、想像していくことだと思う。
この映画も、そのひとつ。
 
ヒトラーという存在が持つ意味。
その再認識とともに、
心にグッとくるやり取りが印象的。
 
例えば・・・、
ドイツ人の次はロシア人。
略奪者が変わっただけ。

ドイツ軍はロシア軍が追い払ったけど、
ロシア軍は誰が追い払ってくれるのか?
 
こういうやり取りが、なんかいいなぁ。と。
 
 
と、ミステリー映画だと思ったのは、
“箱の中身”ですね。
いくつか、箱が劇中で登場するんですけど、
その中身は、ずっと秘密なんです。
 
そこに関係すると思うのが、映画の原題「Burial」
埋葬って意味。
遺体の埋葬と、歴史の闇に葬る、を
かけてるんだと思われる。
 
あれ?ちょっと待って。
ヒトラーのヒの字もないよ。
 
 
・・・ここから、微妙だと思ったポイント。
 
この映画。ヒトラーが正直、あんまり似てないんだよね。
見た瞬間、「コイツはまさか・・・」って、ならないんですよ。
個人的な意見ですが。
 
そういう意味で、邦題に助けられたというか。
本来なら、わりとダサい邦題かと思うところ、
これがないと、ヒトラーと分からん。
 
 
そしてもうひとつ。 
護送人員があんまりにもマヌケすぎ。
 
主人公ブラナは、戦闘経験がないと思われ。
デキる軍人っぽくブラナを最初描いてるせいかな。
そこで、勘違いしちゃったけど、
よく考えたら、この人、情報士官なんだよね。
 
そんな彼女が指揮をとるもんだから、
部隊は簡単に総くずれ。
 
それが、作劇上、敵を強く見せるため、
主人公の知能を下げてるような見え方になってる。
 
そこが一番モヤっとしたかなぁ。
 
ダメダメな人間が、
戦闘のプロたちに囲まれても、
なんとか生き延びようとあがいてる。
みたいに見えれば、また違った感想になったかも。
 
たぶん、見せる順番が逆なのかもしれない。
過去回想みたいな、見せ方じゃなかったかもしれない。
 
 
と、この映画の“たられば”を考えてしまうのでした。

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