友達以上、恋人未満。
遠回りな関係が、ほほえましくもある
ラブコメ映画の話。
リコリス・ピザ
データ
公開：２０２２年(日本公開)
製作国：アメリカ
監督：ポール・トーマス・アンダーソン
あらすじ
1970年代、ハリウッド近郊、サンフェルナンド・バレー。
出典：リコリス・ピザ オフィシャルサイトより引用
高校生のゲイリー・ヴァレンタインは子役として活躍していた。
アラナ・ケインは将来が見えぬまま、カメラマンアシスタントをしていた。
ゲイリーは、高校の写真撮影のために
カメラマンアシスタントとしてやってきたアラナに一目惚れする。
「君と出会うのは運命なんだよ」
強引なゲイリーの誘いが功を奏し、食事をするふたり。
「僕はショーマン。天職だ」
将来になんの迷いもなく、自信満々のゲイリー。
将来の夢は？何が好き？……ゲイリーの言葉にアラナは「分からない」と力なく答える。
それでも、ふたりの距離は徐々に近づいていく。
ゲイリーに勧められるままに女優のオーディションを受けたアラナは
ジャック・ホールデンというベテラン俳優と知り合い、
映画監督のレックス・ブラウとテーブルを囲む。
また、カリフォルニア市長選に出馬しているジョエル・ワックスの選挙活動のボランティアを始める。
ゲイリーはウォーターベッド販売を手掛けるようになり、店に来た女の子に声を掛ける。
ある日、映画プロデューサーのジョン・ピーターズの家へベッドを届けるが、面倒に巻き込まれる。
それぞれの道を歩み始めるかのように見えたふたり。
出会い、歩み寄り、このまま、すれ違っていくのだろうか――。
お互い好きなクセに、素直になれない二人。という、
ちょ～王道ラブコメ！
アラナとゲイリーが１０歳離れてるのも、
良い感じにスパイスとなってて。
１５歳と２５歳、特有のプライドが邪魔して
友達から一向に進展しないチリチリ感。
お互いの気を引こうとして、
新しい仕事したり、恋人作ろうと奔走するんだけど、
それが、いじらしい。
例えば１５歳のゲイリー。
片思いのアラナは大人の女性で、
彼女のいる“大人の社会”に、どうしても入り込めず、
疎外感を持っている。
何とか、対等の関係を持ちたくて、
１０代ながら、さまざまなビジネスに手を出す。
ウォーターベッドのセールスマンだったり。
ピンボールパブだったり。。。
仕事を持つことで、精一杯背伸びをする。
劇中に恋敵も多くでるのだが、
全て大人の男性で、自分にない余裕を持っている。
“アイツらより俺のほうがすごい”感を出したくて、
めちゃくちゃあがく。
この辺が、すごい１０代の子どもっぽい。
すねて、車を勝手に乗り回すところとか、笑っちゃった。
単なる反抗期とは、ちょっと違う、
複雑なものが混じってるシーンだと思ったね。
いっぽうで
２５歳のアラナ。
こちらは家が厳格なため、
自由恋愛ができなくて、
束縛されることにかなり抵抗を持ち、
恋に恋する子どもっぽい部分がある。
そんな彼女が、
向こう見ずな１５歳に振り回され、
セールスマンだったり、女優オーディションだったり、
選挙スタッフだったりと、いろんな体験に心躍らせていく。
内心、ゲイリーに感謝しつつも、
一応“大人”のため、
しかたなく、友だち付き合いをしてる感を出す。
というわけで、
めちゃくちゃこじらせちゃった二人の青春劇として、
すれ違いがほほえましいし、面白い。
中盤「いいぞ、もっとやれ！」と、思いながら見てた。
荒んだ時に見ると、ほっこりする。
そんな映画です。
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