原作は、帝政ロシアの文豪・トルストイの長編小説。
鮮やかな色彩が美しい映画の話。
アンナ・カレーニナ
データ
公開:2013年3月(日本公開)
製作国:イギリス
監督:ジョー・ライト
あらすじ
19世紀末のロシア。 アンナ・カレーニナは、政府高官カレーニンの妻で、社交界の華として羨望の的。 アンナは、離婚危機にある兄夫婦の仲を取り持とうと、モスクワへ赴く。 そこで青年将校ヴロンスキーと出会い、互いに一目でひかれあうのだった。 夫のいる身でありながら、アンナは愛に溺れていく。
特徴的なのは、話と話の転換に、舞台のような演出をし、
物語が途切れることなくシームレスに繋がっていくこと。
こんなシーンがある。
アンナが出かけようと身支度して、
窓のカーテンを開けたら、移動する雪景色で、
実は、汽車の中だった―。
という具合に、
家の窓と汽車の窓を、
カーテンを開けるアクションを1つにまとめちゃうことで、
時間や場所の転換を1つの自然な流れに組み込む。
なかなか、おしゃれな演出。
本作はこの同じアクションで繋げる場面転換が素敵!
もっとも。
自然に繋がりすぎて、日数の経過が分かりづらい面はあるけれど。
あと、もうひとつ。
主要人物以外、動きを止める演出。
これも、特徴的。
最高に映えてたのは、舞踏会のシーン。
お互いのことしか、目に入らない!が
視覚的にこの上なく分かりやすい場面だったと思う。
そんでもって肝心の物語!
愛に恋い焦がれる、といえばいいのか。
すれ違って、こじらせていく、切ない話。
アンナに降りかかる出来事と、
対になる出来事が複数あり、
幸せを比べちゃう、悲しい面もあると思う。
人妻でありながら、他の人を好きになるというのは、
19世紀のロシア社交界では、品性に欠ける行為らしく、
アンナは針のむしろ状態で、どんどん追い詰められていく。
そんなわけで、ヴロンスキーの愛にすがるわけだけど、
どうしても温度差があって、愛されてないと錯覚していくアンナ。
よって行動は、ヒステリックにエスカレートしていく。
しっかし、
物語を急いで進めすぎなせいか、
アンナさん、けっこう支離滅裂かつ、自業自得に見えちゃう。
もしかすると、シームレス演出も、そう感じちゃう一因かも。
アンナの言い分が、全部同じ時間軸に見えてしまうため、
物事をかみしめる余韻がないというのか。
自分が言ったことを1分後に否定してるような、
生粋のヤバい奴に見えてしまう。
本当は、いろんな思惑のズレが絡み合ってるはずなのに。
夫も、世間体を気にして離婚をかたくなに拒否する
ヤバいところ、あるはずなのにね。
あんまり、ヤバく見えないのよ。
原作の設定である、夫とあまりうまくいっておらず、
本物の恋に身をゆだねようと思った相手がヴロンスキー。とは、
少なくとも、この映画だけじゃ分かりにくい。
なんやかんや書きましたけど、視覚的には面白い試みが多いので、
シリアスな話のわりに、そんなに暗くならずに見れる映画です。
というわけで、アンナ・カレーニナでした。
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