映画感想 ″キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン″

欲、欲、欲!
働かずにお金がもらえたら、なんと贅沢なことか。
昼間は寝そべっていたいし、
夜は騒いでいたい。

欲は、人間の原動力でもある。
時にはどんなことも、いとわない。

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ファイナル予告

データ
公開:2023年10月(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:マーティン・スコセッシ

あらすじ

地元の有力者である叔父のウィリアム・ヘイルを頼ってオクラホマへと移り住んだアーネスト・バークハート。
アーネストはそこで暮らす先住民族・オセージ族の女性、モリ―・カイルと恋に落ち夫婦となるが、
2人の周囲で不可解な連続殺人事件が起き始める。
町が混乱と暴力に包まれる中、ワシントンD.C.から派遣された捜査官が調査に乗り出すが、
この事件の裏には驚愕の真実が隠されていた——。

出典:映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』公式サイトより

上映時間を3度見しちゃうくらい長い映画なんですが、
体感でいうと90分!に錯覚しちゃうほどの怒涛のサスペンス。
 
セット、人物像、脚本に至るまで細部まで作りこまれた映像から生まれる
常にハラハラする空気感がたまらない。
やっぱりスコセッシ監督はすごい。
 
 
「彼女はそろそろ家に帰る時間だ」
この何てないセリフに、裏を読みたくなる、
雰囲気がずっと漂っている。

実際、裏があるわけで。

だから、何かあるんじゃないかと構えてると肩透かしだったり。
フェイントに油断してると、思わぬ衝撃展開が待ってる。
 
 
ディカプリオ演じるアーネストの、
小ズルいけど、何に対しても一途ゆえに、
その一途さに周囲も振り回されていくんですよね。
 
おじに対して、良い存在であろうとして。
家族に対して、良い存在であろうとして。
一途に、ある種盲目に従った結果、
事態が取返しの付かない方向に転がっていく。
 
 
これは、人のアイデンティティとは?みたいなテーマもあると思っていて。
アメリカでは、この映画にも出てくるように
俗にインディアンと呼ばれる先住民との争いの歴史もあった。
では、ネイティブアメリカンとは何だろう?
これは、日本も同じで。
今の日本人のルーツは、東アジアにあるという説もある。
 
主人公アーネストは、芯がブレブレで。
選択をことごとく間違えていく、
アイデンティティを見失った者として描かれる。
それが侵略した側である白人というのは皮肉であり、自壊なのかも。
 
 
ホント、後悔しない生き方って何だろな。と
しみじみ思った映画でした。
 
 
エンドクレジットまで、作品の空気感を保つ気配りされていて。
例えば、後日談が挿入されるのだけど、
その見せ方もオシャレ。
「古くからの言い伝え」的な、見せ方。
 
加えて、エンディングも音楽を流さない。
個人的に、エンドクレジットって、
映画の世界から現実に戻ってくるクールタイムの時間にしてるんだけど、
この映画に関しては、そこも本編って感じでした。

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