映画感想 ❝風と共に去りぬ❞

映画

「夏草や兵どもが夢の跡」を感じる夕焼けが美しい1本。
監督や、役者に逸話だけでも映画になるんじゃないかという
歴史的大作映画を初めて見たって話。

風と共に去りぬ

風と共に去りぬ [Blu-ray]

データ
公開:1952年9月(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:ビクター・フレミング

あらすじ

1861年。南北戦争直前のジョージア州タラ。
大地主を父に持つ、スカーレット・オハラは、いつも男性の注目の的。
彼女は幼なじみのアシュレーに思いを寄せるが、
彼は、いとこのメラニーと婚約。
スカーレットは、いら立ちを募らせていた。
そんな彼女の前に、素行の悪さを噂される男レット・バトラーが現れる。
スカーレットはバトラーの不遜な態度を敬遠しながらも、次第に彼を頼りにしていく
やがて、南北戦争が勃発。
激動のアメリカを舞台にスカーレットは強く、激しく生きていく。

第二次世界大戦前、1939年の映画。
勝手なイメージでモノクロ映画だと思っていたけれど、
全編カラー作品。
当時は、色をつけるだけでも今とは桁違いにコストがかかったと思うので、
相当、力の入った作品だったに違いない。
 
その力の入れ具合は、
今見ても、色あせない魅力があると思う。
 
特に、節目節目に出てくる、夕景や朝焼け!
スカーレット演じる、ヴィヴィアン・リー のシルエット、
その背後に広がるタラの大地を映すカットは、
カラーだからこそ、画になるなぁ。というショットだと。
 
 
主人公スカーレットは、超がつくほどのワガママ。
生意気な性格だけれど、一途に幼なじみアシュレーを思う。
ただ、ひねくれすぎて、
アシュレーへの当てつけのためだけに、
好きでもない相手と結婚するという、かなーり変な人。
 
そんな、ワガママお嬢様が、
戦争により、食糧が手に入らない状態に陥り、
極度のストレスを経験したことで、
「絶対飢えないぞ!」と強い強い執着を持つようになる。
 
執着は、スカーレットを冷酷無比な女性にしていく。
 
生き残るために、政略的な結婚もいとわない。
(都合、3回結婚を繰り返す。) 
ロクな報酬も与えずに、人をこき使いまくり、
再び地位と権力を手にしていきます。
戦争によって、なりふり構わず「生き残る」ことに
固執する姿は、国、時代を越えて、普遍的なテーマを感じる。
 
劇中、誇りをかけて戦いに向かう男たちを軽蔑するスカーレットは、
男の信念で飢えはしのげない!と思っている現実的で強い女性。
でも、本編見て思ったんですけど、
一番強いのは、いとこのメラニーだったんじゃないかと。
 
メラニーは、スカーレットの対比として、
慈しみの心を持つ、聖母みたいな存在として描かれるのだけど。。。
「強」は、「したたか」とも読むんですよね。
あの手この手と、傍若無人な振る舞いをするスカーレットより、
望むもの全てを手に入れていく、メラニーはある意味強かだったんじゃないか。そう思う
彼女は自分の手を汚さず、
なんやかんや良い思いばかりしてるんでね。
最後のセリフとか、スカーレットの所業を全部知ってたんじゃないかと、疑っちゃうくらい。
 
 
お気に入りのシーンは、やっぱり、
夕陽のタラの地をバックに佇むスカーレットのショットかな。
最後に、似たアングルで、もう一度撮ってるんだけど、
意味合いが変わってるので、その変化も面白いところ。
 
もうひとつ最後のシーンで思うのは、
あれだけ「誇り」を否定していた、スカーレットも
故郷の地には並々ならぬ信念を持っていた。
 
 
私見にすぎないけど。
女性は帰る場所としての土地を大事にして
男性は名誉を大事にする。
そんな傾向があるような気がする。
 
 
今にも通じる、奥深い映画でした。
気になったのは、奴隷が奴隷を受け入れすぎている、
これはちょっと、映画的なウソなんじゃないか。と、ひっかかりましたね。
 

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