“映画感想” チェチェンへようこそ/ブルーサーマル

珍しく、映画を2本続けて見たので、
まとめて感想を述べてみた。という話。

まずはコチラから

チェチェンへようこそ ゲイの粛清

データ

製作国:アメリカ・イギリス
公開:2022年

同性愛者は生きるに値しないのか?

チェチェンで実際に起きている
ゲイ・レズビアンへの迫害を追いかけた
ドキュメンタリー。

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映画『チェチェンへようこそーゲイの粛清ー』|2月26日(土)ユーロスペースほか全国ロードショー (madegood.com)
 
この映画には「フェイスダブル」という
特殊な技術が使われている。

人の顔をCGで別人のものに変えてしまうこの技術は
フェイクニュースで注目を浴びた。
 
なぜこんなことをしているかというと、
身元がバレると命の危機にさらされるため、
出演者は全て顔を変えてあるそうだ。
 
あまりに精巧にできているため、
「本当かな?」と半信半疑で
はじめのうちは見ていました。

しかし、出演者が泣いてしまうシーンで、
涙が流れないところを見ると、
本当にフェイスダブルが
使われていることが分かる。
 
 
映画の最初に、
このフェイスダブルを使用している旨が
クレジットされることで、
わざわざ、こんな手間をかけるほどの理由が
チェチェンにあるのか?
 
先を見るための興味が生まれます。
 
 
映画がすすむごとに明かされていく
すさまじい実態。 
 
それは、同性愛というだけで、
国民的に「ヤツラは痛めつけても良い」という、
意識が浸透してしまったチェチェン。
 
 
同性愛者は問答無用で逮捕され、
容赦ない拷問。
仲間の所在を吐かせたあとは、
その仲間を捕まえて、
同じことを繰り返す。
 
そして、親類・友人に至るまで、
同性愛者は警察に突き出すべき、
または改心させるべき、
と信じられている現状。
 
まるで戦時中の大日本帝国のような、
恐ろしい惨劇が顔をのぞかせます。
 
 
 
被害者による拷問の実態の告白。
(ムチ打ちで、
皮膚がそげてしまったものもいる。)
 
時折はさまる、
同性愛者に対する、
暴行や、殺人の瞬間を捉えた
衝撃映像の数々。
 
 
これらの積み重ねは、
チェチェン国、
そして、かの国を支援するロシア。
 
彼らへの強烈な憎しみを
見るものに植え付けます。
 
 
ただし、ちょっと冷静に
ならなければいけないのは、
観客に嫌悪感を抱かせるように
意図されて構成された、
ドキュメンタリーである。ということ。
 
 
チェチェンやロシアに良くない感情が
生まれるかもしれないが、
じつは、これ、誰の心にも存在する感情である。
と思う。
 
それは、正義心。
 
チェチェンでは、
これが「正しいこと」として
信じられている部分に
問題があるのではないだろうか。
 
行き過ぎた正義心のなれの果てを
垣間見たような気がする。
 
 
「もしかして、お前ホモ?」といった言葉を
冗談の道具として使ったことが私にもある。
 
そこの行きつく先がこれだと考えると、
ちょっと他人事ではないかもしれない。
 
 
どうしてこうなったのか、
もしかしたら、自分たちもこうなってしまうのではないか。
そんな己の「正義心」を問われているような気がしました。
 
 
同性愛者たちは、国外へ亡命をはかるわけですが、
アメリカをはじめとして、
多くの国が受け入れを拒否しているという事実も
忘れてはいけないし、
そこが重要かもしれないと感じるわけです。
 
 
と、この映画の話はここまで。

では、2本目。

ブルーサーマル

データ

製作国:日本
公開:2022年

あらすじ

大学進学のため長崎から上京してきた都留たまき。
とあることがキッカケで
体育会系航空部のグライダーを傷つけてしまい、
弁償のため航空部へと入部することに。
 
そのため、理想のキャンパスライフとは
かけ離れた環境に不満は募るいっぽう。
 
しかし、主将・倉持の操縦するグライダーで
はじめて飛び立った時、
一面に広がる空の美しさに魅了されていく。

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映画『ブルーサーマル』公式サイト (blue-thermal.jp)


サークルを通して、仲間との絆を描くザ・青春もの!
 
グライダーの飛び立つ仕組みやら、
大会の雰囲気やらを感じられて新鮮。
 
で、やっぱり心躍るのは空の描写ですね。
 
グライダーの滑走。
飛行、
空の上から見下ろす景色。
 
どれをとっても絶景。
ここは一見の価値あり!
 
ただ、欲を言えば、もっともっと
グライダーのシーンでワクワクしたい!
そんな映画でした。
 
 
そう思うのは、
まずストーリーの駆け足感がいなめないこと。
 
原作を読んだことないんですが、
入部のきっかけから、最終回までを
ダイジェストにしてるような。
そんな印象です。
 
 
これによって、
登場人物の誰にも感情移入しにくい。
 
「なぜ、彼ら彼女らは飛ぶのか?」が
いまいち分からないんですよね。。。
 
だから、飛べた時もカタルシスに
欠けるというか、
「グライダー飛んだね」ぐらいの
フラットな気持ちになる。
 
 
都留たまきが入部した状態から
新人戦までを描くのであったら、
もうちょっと、
各キャラ掘り下げられたんじゃみたいな気にはなる。
 
 
そして、
競技会のルールが説明不足。
 
どうすれば、どうなれば勝ちなのかが、
明確に映像で表現されてないので、
今、主人公たちは勝ってるのか、負けているのか
分からない。
 
 
要は思ったよりハラハラしないんですよ。全編。
 
 
ただ、飛んで帰ってくる
遊覧飛行の印象になってるのが
もったいないかなぁ。
 
物語のどこかに「失敗」のシーンがあれば、
飛ぶことにはリスクが伴い、
飛行のシーンにも緊張感が出たと思うし、
「それでも飛ぶんだよ。」という
カタルシスもあったかもなぁ。と。
 
 
とまあ、いろいろ欲が出てくる映画でした。
 

 
以上、感想終わり!

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