映画感想 “モダンタイムス”

映画

資本主義の妙な部分を笑い飛ばす、
傑作、風刺コメディ。
チャップリンの代表作の話。

モダンタイムス

モダン・タイムス Modern Times [Blu-ray]

データ
公開:1938年2月(日本公開)
製作国:アメリカ
監督:チャールズ・チャップリン

あらすじ

製鉄工場で働くチャーリーは、
スパナを使って、ベルトコンベア―から流れてくる部品にネジを締めていた。
この単調な仕事を続けていたせいで、段々と精神に異常をきたしはじめる。

無声映画ではない。
“ほぼ”無声映画。
 
冒頭、まったくセリフを発しないから、
サイレントかと勘違いしたけれど、そうではなかった!
 
一部の人物のみ、声がある。
そのセリフのある人物というのが、
社長など、権力者だけ。
それ以外のものは、徹底して声が入らない。
ジェスチャーと、時折はさまる字幕で状況を確認できるのみ。
 
指示できるのは権力者。
搾取する、される者たちの格差を示しているのだろうか?
 
それだけに、最後に唯一入るチャーリーの声が印象的。
民衆がついに、立ち上がった象徴かもしれない。
ちなみに、チャーリーの肉声が映画で聞けるのは、
モダンタイムスが初だそう。
 
 
さて、機械文明への風刺映画として有名な、この映画。
でも、それだけではないと思う。
モダンタイムスとは現代社会、という意味合いも含まれている。
 
映画を見て思ったのは、機械というよりも、
むしろ現代の資本主義社会へのデメリット部分を出してるんじゃないかと。
 
単純作業ばかりで気がふれちゃうチャーリー。
あらゆるものがネジに見えてくるという、
コメディで軽くまとめてるけど、実はけっこう深刻な問題。
これは、過労がたびたび話題に上がる現代日本でも
他人事ではない。
 
一度、病院送りになったチャーリーは、
退院後、たびたび警察のお世話になることに。
デモ隊のリーダーと間違われて捕まったり。
無銭飲食で捕まったり。
警備の仕事で粗相をしたりと。
 
悲哀を感じる部分は、
前科者にもなり、なかなか働き口が見つからない中で、
刑務所へ戻る方法はないかと考えるようになるところ。
ここも、上手くコメディに落とし込んでるけど、
格差社会の闇、なんじゃなかろうか。
まともに働けない。住むところも食べるものも厳しい。
ただ、刑務所では少なくとも食住には困らないのである。
 
 
途中チャーリーは、パン泥棒の少女と知り合う。
まあ、どう見ても浮浪者とは言い張れないほど、
美人な少女ってのは置いといて。

最後、彼女と新天地に向け歩き出すというエンディングが、
なんか、嫌なことあっても
「それでも進むしかない」を体現してるかのようだった。
 
 
あ、そうそう。
劇中で覚せい剤使ったギャグがあるんだけど。
今だとバッリバリにコンプラ引っ掛かるんだろうなぁ。

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