“映画感想” 月はどっちに出ている

映画

悲劇は笑い飛ばすに限る。

90年代、国際化の進む日本の裏側を描く
コメディ映画の話。

月はどっちに出ている

月はどっちに出ている [ 岸谷五朗 ]

データ

公開:1993年(日本公開)
製作国:日本
監督:崔洋一

あらすじ

在日朝鮮人の2世である忠男は、
東京のタクシー会社でドライバーの仕事をしている。
 
同級生が社長をつとめるその会社には、
常識やぶりの同僚ばかりで、トラブルが絶えない毎日。
 
ある日、忠雄は母が経営するフィリピン・パブのホステス
コニーと出会い、惚れこんでしまう。
気を引こうと、あの手この手を駆使して、
ついには彼女の部屋へ勝手に居座りはじめる。
常識はずれのふたりの恋は、どうなってしまうのか。

舞台は90年代の東京。
国際化が進み、多国籍、多民族国家として、
さまざまな人種が交じり合うようになった時代。
 
そんな日本での在日人の悲喜こもごもを描く。
 
 
タイトルの「月はどっちに出ている」は、
作中のセリフにも出てくる。
方向音痴のドライバーが、
会社へ帰ってくる道筋を訪ねる時のやり取り。
 
「私、今どこにいるんでしょうか」
「月はどっちに出ていますか。
月の方向に向かって進んでください」
 
帰り道の道しるべというわけ。
あれ?そうしたら、
帰る当てのない人は何をたどっていけばいいの?
 
そう言ってる気がしましたね。
 
 
 
劇中の人物は、個性的で済ますには
破天荒な人生を送る人が多くて多くて。
 
「朝鮮人は嫌い」とか言いながら、
主人公の忠男へ、金の無心を迫る同僚。
吃音もちで、喧嘩っ早い同僚。
会社に子連れでやってくるやつ。
免許もないのに、タクシー運転するやつ。
 
 
本人たちには、大変なできごとで、
重い話なのに、それをコメディで笑い飛ばす。
悲壮感を微塵も感じさせない、
力強いエネルギーにあふれた作品で、
「バカだな~」と思いながら見れます。
 
 
あと、出演者が今では大御所のみなさんばかり。
当たり前だけど、めっちゃ若い!って思いました。
特に、岸谷五朗さんが良い体つきしてんのよ。
かっこいいっす。
 
 
劇中で、
「これから朝鮮人も大変になるよ」って
セリフがあるんだけど、
2022年、現在、この外国人労働者に関する課題は、
いっこうに解決される気はしない。
30年も経ってるはずなのにね。
 
 
変な話、日本人は、
ナワバリ意識が強いと思っていて。
出身中学がどこかで言い争ったり、
まったく面識なくても同郷というだけで
打ち解けたり。
 
そんな中で、国が違う人が入りこむのは、
どれだけ大変なのか。

最後、どこに向かって走っていったんでしょうね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました