“映画感想” 私の、息子

子の心親知らず。な映画の話

私の、息子

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映画『私の、息子』公式サイト (magichour.co.jp)

データ

製作国:ルーマニア
公開:2014年
受賞:第63回ベルリン国際映画祭 金熊賞ほか

あらすじ

ブカレストで暮らすセレブリティ、コルネリア。
彼女の悩みは、最近めっきり交流のなくなった
一人息子・バルブのこと。
 
電話も寄こさず、顔をあわせば悪態ばかり。
 
そんな境遇に辟易していたコルネリアに
予期せぬ知らせが入る。
 
バルブが交通事故を起こし、
子どもを死なせてしまったのだ。
 
愛する息子を守るため、
コルネリアは自らの財力とコネを使い、
あらゆる手段で、事態の収拾に動くのだが・・・。

全編手持ちカメラによる、
半ドキュメンタリー的な手法で作られた映画。
  
つまり、妙齢のセレブ、コルネリアさんに
密着取材しましたよ!
的な見せ方が特徴です。
 
 
言ってしまえば、
モキュメンタリーなんだけれど、
厳密に言うと、よりフィクション要素が強い感じ。
 
 
カメラは主人公のコルネリアを
ずっと追い続けるため、
情報も断片的になっている。
 
そのことで、
観客側にも、コルネリアと同じ情報しか
入ってこないので、
後半に行けば行くほど、
彼女の視点にグッと近くなる。
 
 
どこで事故が起きたのか?とか
相手は誰なんだ?とか
そして、 
「なぜ、息子に嫌われているのか」
 
わずかに入ってくる情報から
推測していくしかない。
 
 
この辺り、現実の人間関係に近くて
なんかイヤ~な気分にさせられるんだけど、
それがリアルで良かった。
 
例えば、仕事や学校生活で
自分は良く思われてない。としても、
はっきり知ることはなく、
周りの空気感から、うっすら分かりはじめていく。
 
あの感じ!
 
 
観客がコルネリアになって
徐々に真実っぽいことが
明らかになっていくんですよね。
  
見た人が、
「おそらく、そうなんじゃないだろうか」と
それぞれの答えが出せるようにはなっている。
  
 
「私の、息子」を
ずばり、ヒトコトで表すなら、
「遅れてやってきた反抗期」かな。
 
 
なんでも自分の思い通りにしてきた
コルネリア。

過保護ともいえる、息子への愛が
一種の束縛のような、感じになっていたのかも。
 
 
コルネリアの息子、バルブの行動が、
まんま中学時代の反抗期まっさかりな
あの頃を思い出して、すげえ恥ずかしい。
 
 
ただ、
コルネリア・・・母の目線に
共感を深めて最後まで見てると、
終盤のくだりがね。
まあ、飲み込みづらい!
 
 
終盤のシーンで
事故遺族に謝罪にいくんだけれど、
コルネリアの言い分が、なんともいえなくて。
 
 
急に観客を突き放してくるわけです。
 
 
そして、それと相反するように、
最後に見せたバルブの行動に、
共感します。
 
 
一連のシーンを見ると、
こう言われた気がします。
 
 
「お前ら、ちゃんとした大人になれよ。」って。
 

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