なぜ、どうやって、どうして?
転落死の謎を裁判で解剖していく。
ミステリー映画。
まるで小説を読んでいるよう。
落下の解剖学
出典:映画『落下の解剖学』公式サイトより
データ
公開:2024年2月(日本公開)
製作国:フランス
監督:ジュスティーヌ・トリエ
あらすじ
人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。
出典:映画『落下の解剖学』公式サイトより
はじめは事故と思われたが、
次第にベストセラー作家である妻サンドラに殺人容疑が向けられる。
現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。
証人や検事により、夫婦の秘密や嘘が暴露され、
登場人物の数だけ<真実>が現れるが──。
裁判記録を覗いているかのような見せ方がいやらしい。
転落の瞬間は、はっきり描かれない。
現場検証の報告とか、検視官の落下の見立てなどなど。
裁判で、つまびらかにされる証言をもとに
事実を観客が自分で組み立てることになるので、
パズル的で楽しい。
この感覚は『12人の怒れる男』でも覚えがある。
ほんと、劇中の息子と同じ気持ち。
知らなかった両親の事実が次々と出てくるから、
そりゃ「助けて!」と言いたくなるわ。
息子の目が弱視ってのも、上手いよね。
見えていたら、こじれることもなかった。
冒頭の論文の取材シーンでの、サンドラの行動がめちゃくちゃ怪しい。
とにかく、自分の話を避けたがる会話と、不自然に爆音になる音楽。
サンドラが犯人!っていう先入観で見ていくのだけど、
どうやら、夫も子どもも間違いなく愛していたことが、
何気ないしぐさとかで分かるし、、、
例えば、弁護士とのキスを回避する場面とか。
物語が進むごとに
本当に、自殺か、殺人か分からなくなってくる。
おそらく、解釈は人の数だけ生まれるのだろう。
ただ、いつの間にか自殺か他殺かの2択で争われていたけれど、
第三の選択「事故」の可能性も、
もしかしたらありえるんじゃないか?
…にしても。犬の演技がべらぼうに上手い。
終盤のあの演技やられたら、賞もとるよね。
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