本の感想 ❝事実はなぜ人の意見を変えられないのか❞

書籍
事実はなぜ人の意見を変えられないのか
著者:ターリ・シャーロット  翻訳:上原直子

人は事実よりも、
自分の心情を優先する。
 
データをつきつけるだけじゃ、
頭にくることを上司に言われたとしても、
それを覆すことはできない。
 
悲しいかな。
 
 
これが人間の、そもそも持ってる本能みたいなものらしいから、
なかなかめんどうくさい。
 
意思決定に参考にしているのは、
実はデータではなく、他人の意見。
 
SNSからアマゾンレビュー、
いち市民の声が溢れかえるなか、
たとえば、誰かが「面白い」といった映画は、
「面白い」と思わなくちゃいけない、と考えたことはないだろうか。
 
あるいは、特に面白いとも何とも思わない映画だった場合、
あまりにも、「面白い」意見が多いと、
反発して、何が面白いんだ。って、
余計に気持ちが昂ったりすることは?
 
誰かの意見に影響を受けて、
最初に自分が感じたことを変えてしまう。
もし、それが間違ってる考えだとしても。
 
 
記憶すら捻じ曲げてしまうこともあるらしい。
とある実験が載っていたので、
ちょっと紹介すると・・・。
 
まず、イスラエルの不法移民たちの苦難を描いたドキュメンタリーを
被験者に見てもらう。
上映が終わった時、映画にまつわる質問を行った。
たとえば、「女性が逮捕されたとき着ていた服は何色だったか?」
仮に「赤色の服を着ていた」と答えたとする。
 
この実験から数日後、再び、同じ質問をする。
ただし、このとき、別の3人の誤回答を先にみせておく。
「白の服を着ていた」と。
すると、実験に参加した人は、70%の割合で意見を変えたそう。
 
しかも、面白いのは、実験のネタばらしをした後、
あらためて、同じ質問をしても、
間違った答えのままで記憶してしまうらしい。
最初に赤と答えていたはずなのに!
 
 
信じたいものを信じちゃうということは、
たびたび話題になるフェイクニュースって
どう抗えばいいんだろうな。
 
 
ほかにも、
影響力にまつわる、興味深い話が載っていて、
「脅しよりも、報酬を与えると人はやる気を出す」
「命令するよりも。自分で選ばせたほうが効き目がある」
「悪いことよりも良いことが起こることを強調したメッセージが
人の注意を引き付ける」

などなど。
でも、一番印象に残ったのはあれかな。
自分の脳で誰かの動きを操る実験。
脳波の電気信号を記録して、送るやつ。
 
SF好きには、たまらない、
めちゃくちゃ面白そうな実験だった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました