本の感想 ❝思考の穴❞

書籍
イェール大学集中講義 思考の穴??わかっていても間違える全人類のための思考法
著者:アン・ウーキョン 翻訳:花塚 恵

イェール大学って聞くと、
何はなくともスゴそう!って感じちゃうのが、
すでに「思考の穴」にあるのかもしれない。

簡単に言っちゃうと、思い込みのお話。

分かっていても、
人の本能であるから、避けられないものではあるのだけど、
それでも、大事な局面で「今、思い込みかも。」と、
穴に落ちる前に、立ち止まり方を気づかせる本。

確かにー。と思ったものを、
4つほど、メモとして残しておくことにします。

「何度も見るとなぜかできると思ってしまう。」

実験内容が載っていたので、引用すると・・・

人気グループBTSが歌う「Boy With Luv」のミュージックビデオから切り取った
6秒の動画を流す。

動画を流し終えら、そのダンスを踊ることができた人に賞品を用意したと告げる。
そして同じ動画をもう10回流す。さらには、このダンスの指導用に制作された
スローバージョンの動画も流す。
そのうえで、ダンスに挑戦する志願者を募る。

出典:p.23 Kindle 版 より

わずか6秒の動画にも関わらず、
全員、動きがバラバラだったそうだ。

誰かが、楽にやり遂げている様子を見ると、
自分でも簡単にできると錯覚してしまう。

それは、料理であったり、スポーツであったり。
できるまでには、当たり前だけど練習が必要!
過程を軽視しがちなのが、人間の性。

身に置き換えて考えると、歌はあるあるかもしれない。
何度もMVを見てると、
あんな風に歌えると思っちゃうので、
カラオケで大恥かく。

これと同じ現象として、
知識があると、「できる」と錯覚しやすいらしい。

「自分が知っていることは、みんなの常識だと考える。」

こちらも、本書から引用。

ある研究で、自分の友人が書いた文章を使って
「皮肉を認識する能力」を確かめる実験が行われた。
実験の参加者は友人どうしでペアを組み、一人がペアの相手に
さまざまな一文のメッセージをメールするよう指示された。
メッセージのいくつかは皮肉を込めたもの、残りは真面目なものだ。

正否を集計すると、正答率は50パーセント程度で、
コインを投げて答えを選んだときと変わらないレベルの結果だった。

出典:p.258 p.259 Kindle 版 より

ツーカーの仲とは言ったものだけれど、
それほどの友人関係でさえ、
実際は50%しか伝わらないと思うと、
「相手のことを理解している」ということは、
科学的には言えないのかもしれない。

せいぜい、理解した気ではいる。

この話には続きがあって、
声の調子を変えてしゃべろうが、
伝わり方に変化はあまりなかったらしい。
メールよりも対面の方が誤解が少ない、
と考える人もいるけれど、
実際は、そうでもない。

ちなみに、
夫婦だろうが、理解度は赤の他人レベルだそう。

ということは、理解って
お互いの歩み寄りで、なんとなくの妥協点を
探していることを指すのかも。

「自分の持っている情報で考えてしまう。」

人は何かを知覚すると、
自分が持つ知識に必ず照らしてそれを解釈する。

何かを理解するために、過去の経験から、
近いものを当てはめるということ。

そういう習性をもっているため、
自分以外も自分と同じ解釈をするに違いない、
そう、錯覚してしまうんだそう。

「未来は距離が遠いから軽視する」

ずーっと先の未来って、
やっぱり、心の距離を感じるもの。

友人が賞をとれば、その友人を誇らしく思うけれど、
他の誰かが受賞したところで、
そのニュースは気に留めることは、おそらくない。

これを時間に置き換えても同じように感じる。
未来が遠ければ遠いほど、見積りがあまくなっていく。

締め切りが3カ月先であれば、
その間に、他の仕事も入れてしまう。
そして、ヒーヒーいうのだ。
私のことだけれど。

最近、思い込み、、、バイアス関係の本がよく目に留まる。
それほど、みんなバイアスを怖がっていることなのか。
はたまた、その手の本が目に留まりやすいのは、
バイアスなのかもしれない。

うーん、堂々巡り。

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