“本当のような嘘の話”『独裁者たちのとき』感想

ディープフェイクやAIはいっさい使わずに、
真実のようで虚構のような画作りの不思議な映画の話

独裁者たちのとき

映画『独裁者たちのとき』予告編

データ

公開:2023年(日本公開)
製作国:ベルギー、ロシア
監督:アレクサンドル・ソクーロフ

あらすじ

煉獄の廃墟の一室。匂い立つような花に包まれた棺の中、
遺体のヨシフ・スターリンが「ブーツがきつい」と目を覚ます。
同室には痛みを訴えるキリストが横たわる。
「早く父なる神のもとへ行け」というスターリンに、
キリストは「皆と同じように列に並んで審判を待つ」と答える。
それを皮肉の笑みをこぼしながら上から見下ろすのはアドルフ・ヒトラー。
軍服のスターリンを脇からウィンストン・チャーチルが覗いている。
「お前はすでに臭い」「お前も臭い」。
3人は互いに悪態をつきながら、天国の門に向かう旅に出た。
道中でベニート・ムッソリーニが合流。
4人は、自らの功績を称えたり互いを罵ったり嘲笑しながら、彷徨うように歩を進める。
お喋りが止むことはないが、果たして互いの言葉は聴こえているのだろうか?
既に生身の人間ではないからなのか、時に分身が現れ、
正装のチャーチル、外套姿のチャーチル、軍服のチャーチルが一堂に会しては、
分身同士、互いに「兄弟」と呼び合ったりもする。
こうして、天国の門を目指し、煉獄を彷徨う4人の旅が始まったのだが…。

出典:『独裁者たちのとき』公式サイトより引用

ーカイブ映像を切り抜いて、
時の権力者たちを合成している一風変わった作り。
 
絵画と合成してたり、同じ場面に同じ人が2人居たり、
奇妙な画作りが正しいモノを曖昧にしていく。
ホント、奇妙としか言い表せない。
民衆の演説会場にトイレがあったりさぁ。
格差、という意味なのかな。
 
 
内容は、天国と地獄の境目に、
かつて独裁者と呼ばれた人物たちが集い、語らい合う。といったもの。
ドキュメンタリーとは違って、創作ドラマのはずなんだけど、
使ってる映像が「本物」だけに、
「これってIFの話で良いんだよね。」と不安になってくる。
 
 
れ見てると、ヒトラー、スターリン、チャーチル、ムッソリーニって
肉声として残ってるものは、罵る言葉
おそらく、民衆を鼓舞するための強い言葉だからかと思うんだけど、
そういう、煽り言葉が多かったんだなと。
 
だから、これらを繋げると、
お互いがお互いを罵り合う、話を聞いてるようでかみ合ってない、
「お前が言うな」合戦になってるのが、最も妙な部分。
 
 
あと、些細なことかもしれないけど、
口の動きがあってないように見える。
たぶん、はじめに音で編集して、
それに合うように画をはめ込んでいったのか、
逆再生や同じ画をループさせて口の動きを
強引に作ってる感がする。
実際、そうなのかもしれないけど。
どうしても、口の動きが再現できないところは、
上手いこと口元を隠してたり。
 
 

とにもかくにも、
イタリア語、ドイツ語、ロシア語、英語が入り乱れる、
中々カオスなやり取りを、
1本の流れにできてしまうなんて、
どんな頭をしてたらこんなこと可能なのか、
驚嘆するばかり。。。


 

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